大雪で自治体全体が一時孤立
意外と強かった過疎の村の底力
日本列島はこのところ、様々な自然災害の直撃を受けている。師走に入ってからは、北日本から西日本にかけて大雪の被害が発生している。
徳島県の山間部では倒木などで道路が寸断され、孤立状態となる集落が続出した。停電となったところも多く、1人暮らしのお年寄りの安否が心配されている。中山間地域では過疎化と高齢化の進行もあって、災害時に孤立化する集落が生まれるようになってしまった。
関東地方を襲った今年2月の大雪でも、孤立状態となった集落が相次いだ。なかには自治体全体が一時、孤立してしまったところさえあった。日本一の高齢化率を記録する群馬県南牧村だ。「日本創成会議」に2040年時点での消滅可能性が最も高い自治体と名指しされた村である。
南牧村の人口は2233人(2014年10月末)で、このうち65歳以上は1302人。高齢化率は58.31%にのぼる。一人暮らしの高齢者は村内に300人ほどいて、高齢者夫婦だけの世帯も約400を数える。なんと村の全世帯の約6割が高齢者のみで暮らしているのである。
そんな南牧村が2014年2月、記録的な大雪に見舞われた。積雪は110センチにも達し、村と近隣自治体を結ぶ唯一の幹線道路(県道)が通行不能になってしまった。そこに停電も加わり、南牧村全体が孤立してしまったのである。
復旧作業が懸命に行われたが、地区によっては除雪がままならず、孤立状態が数日間に及んだところもあった。一人暮らしのお年寄りも多く、その安否が心配された。残念なことに車の中で眠ってしまった方がお1人、亡くなられたが、孤立化による大きな被害は免れた。
お年寄りの多くが自分の畑で野菜などをつくっており、保存していた食料などを食べていたのである。まきや灯油なども備蓄しており、しかも古い家はどこも頑丈だった。