チームプレーとは「チームで勝つ力」
営業マネジャーの役割を1言でいえば「チームプレー営業の推進役!」です。営業活動はともすれば「個人プレー」に陥りがちですが、それでは成果が限られてしまいます。したがって、営業活動を「チームプレー」に変えることが、結果を出すための最重要テーマであり、その推進役こそが営業マネジャーなのです。
実際に、営業に限らず、ビジネスの様々な場面で「チームプレーが大切だ!」という言葉をよく聞きます。私の顧問先の経営者の方々も、朝礼などで「チームプレーで仕事を進めてください!」などと言っています。しかし、私はふと考えてしまいます。「チームプレーとは具体的に何を指しているのだろう? 社員の人たちはその必要性をきちんと理解しているのかな…」と。
スポーツの世界を見れば、チームプレーの必要性は何となくわかります。プロ野球などで一流選手ばかり集めて試合に臨んでも、チームとしての結束力がなければ優勝できません。そう考えれば、チームプレーとは「チームで勝つ力」と定義できるでしょう。
では、これを営業活動に当てはめるとどうなるでしょうか?
例えば、1人の営業マネジャーと3人の部下がいたとします。話を単純にするため、全員の毎月の営業予算を売上1000万円としましょう。マネジャー自身は予算100%達成、部下のAさんは110%達成、Bさんは80%達成、そして一番若手のCさんが達成率50%のペースだったとします。このままいけば、このチームはノルマを達成できないでしょう。
ここで、マネジャーはどのように“テコ入れ”をすればよいでしょうか。この時に大切なのが「チームプレー営業」の考え方です。
一見すると、最も数字が足りないCさんを責めることが必要に思えますが、それは違います。できない人を責めても事態は絶対に改善しません。この時、マネジャーとして強く指導する必要があるのはAさんです。予算110%達成ということは、もっと頑張れば150%達成することもできるでしょう。さらに、Bさんがもう少し頑張って予算100%達成すれば、チームとして予算達成できる可能性がきわめて高くなります。そのためにマネジャーには「チームで仕事をしているのだから、チームで数字を達成することが大切なんだ!」と部下を動機付けることが求められるのです。
もちろん、予算大幅未達のCさんに対しても指導は必要です。ただし「何が何でも予算を達成しろ!」というスタンスではなく、「どれくらいならできそうかな?」というスタンスで接するべきです。そこでCさん本人の口から「売上1000万円は厳しいですが、700万円なら何とか…」という言葉が出れば、Cさんの達成率は50%から70%に高まることが期待できます。人間は人から言われて動くのではなく、自分の意思で動くことによって高いモチベーションを発揮するからです。
いかがでしょうか。これがチームプレー営業の考え方です。このチームはおそらくノルマを達成できるでしょう。