日本経済にも恩恵
ファンダメンタルズ以前の問題

 米国経済の成長は、米国と関係が深い日本経済にも当然恩恵を及ぼします。輸出では米国内の消費の増加、そしてドル高円安の影響もあって伸びが期待できるでしょう。

 とはいえ、日本はもう少し米国経済の強さの本質に学ぶべきではないか、と筆者は思います。そもそも経済の結果数値に出る前の素地としての米国経済に強みがあると考えるからです。「中長期的な経済成長」を概略として因数分解してみると、人口×資金×イノベーションとなります。このうち米国は規制緩和が進んでおりイノベーション力が強く、起業も多いのです。最近の政府統計にはバイオやIT技術の新しいイノベーションをうまくつかめず、過小評価されている可能性すらあります。

 さらに米国には優秀な人材も含め移民を促進する政策をとり、優秀な人材を惹きつける力をもっています。また米国は移民も多いのですが、ラテン系の住民の方々の出生率が高く、人口は今でも増加しております。つまり、米国は“国内に新興国”を持っているようなもので、日本や欧州とはやや前提となる条件が違う、つまり“ファンダメンタルズ以前の自力”があるのです。

 米国経済の表面的な強さに感心するだけにとどまらず、日本経済の政策にどう生かすか、という視点で学んでみるのもよいのではないでしょうか?

しゅくわ・じゅんいち
経済学博士・エコノミスト。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年に富士銀行に入行。国際資金為替部、海外勤務などを経て、98年に三和銀行企画部に移籍。合併でUFJ銀行、UFJホールディングス経営企画部等に勤務。兼務で、東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)、慶應義塾大学経済学部等で非常勤講師として教鞭。財務省・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会に参加。2006年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、開催数は170回を、会員は6800人を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書に『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか』(共著、東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』『アジア金融システムの経済学』(日本経済新聞社)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』(東洋経済新報社)がある。
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