シーン4
考えて実行させたり、臨機応変に実行させることができない
Sさんが業務の進め方について、迷っている。Nさんもアドバイスはしているが、うまく行動に移せず、表情が暗くなりがちである。
ベストプラクティス4-1
丸投げ型ではなく、提案型で相談させる
実行中に疑問等が生じた場合、部下には「どうすればいいですか」という丸投げ型ではなく、「~したいと思うのですが、いかがでしょうか」という提案型で相談させます。
丸投げ型の癖がある場合、ヒントを与えて自分で調べさせたり、考えを整理させる機会を意図的に与えます。
うまくいかないときには、以下のような工夫をしてみましょう。
(例)「○○についてどうしたらいいですか」という丸投げ型相談に対して、「じゃあ、あなたはどうするべきだと思う」と返すことで本人に考える癖を植え付ける。
(例)部下が提案型で相談することに慣れていない場合、発問を交えてどのような選択肢があるのかを考えさせる。
(例)部下の相談が要領を得ない場合、相談内容や本人の考えを一度文章でアウトプットさせ、整理させる。
ベストプラクティス4-2
場合によっては、成果よりも経験を優先する
入社1年目社員の場合、成果よりも経験を優先し、ある程度の失敗を織り込んで業務実行させることも必要です。計画に縛られすぎて、行動の質が疎かになっている場合、余裕を持った計画に軌道修正し、行動の質を高めることで成長を促します。
(例)営業職の新人が行動計画に示された訪問件数をクリアすることを重視するあまり、訪問先でお客様の話をじっくり聴くことが疎かになっていた。そこで、訪問件数を気にするよりも、お客様の話をじっくり聴くことを優先するように指導し、少し余裕を持った行動計画に軌道修正させた。
目先の成果を追うよりも、「成果につながる行動」を習得させることが、中長期的にみた成長につながります。
<まとめ>
今回は、「計画の実行」段階における指導のあり方について解説しました。「声をかけ、聴き切り、考えさせる」といった一見簡単に見えることも、実行できていないことが多いのではないでしょうか。少し工夫することで、これらの指導が可能になるのです。