投資家が保有する持ち高=ポジションのリスク量は、「保有するポジションの金額×価格変動率=ボラティリティ」という数式で算定される。今回のように原油価格が大きく変動すると、価格変動率が高まり、エネルギー商品の持ち高から発生するリスク量が拡大する。

 また、原油価格が下落することで、エネルギー関連企業の業績は不安定化する。米国のシェールオイル開発企業の中には、資金繰りが厳しくなりつつある企業も目立ち始めている。すでにWBHエネジー社が、約60億円の負債を抱えて破綻した。

 中小のシェールオイル開発企業には、その資金調達を信用力の低い、いわゆる“ハイイールド債”に依存しているところも多い。今後、そうした企業の破綻が続くようだと、“ハイイールド債”全体に信用不安の動きが広がることも懸念される。

 また、ロシアやベネズエラ、ブラジルといった諸国の経済状況が一段と悪化するようだと、世界的に株式や為替などの金融市場が不安定化することは避けられない。

大手投資家のポジションが崩れるとき
日本の金融市場に計り知れない影響が

 大手投資家が一斉に保有するポジションのリスク量を削減するために、手持ちのポジションを売りに出るようなことになると、世界的に金融市場が混乱状況に陥る懸念は否定できない。その場合には、わが国の金融市場も無傷では済まない。

 現在、わが国は日銀による異次元の金融緩和策や年金基金による株式購入などによって、円安・株高・低金利を政策当局の力技でつくりだしている。政策当局の力技を永久に続けることはできない。

 政策効果の臨界点と、原油価格急落のリスクの顕在化のタイミングが重なるようなことになると、そのインパクトは計り知れない規模になることも考えられる。そのリスクは我々の生活に直接襲いかかることにもなりかねない。