2015年は戦後70年の節目でもある。増税再々延期という選択肢を断ったアベノミクスはまさに正念場を迎える。集団的自衛権ではいよいよ関連法の改正が行われ、具体的な姿が浮かび上がってくるはずだ。わが国のエネルギー構成をどうするかも決めなければならない。安倍・習会談で関係改善の糸口をつかんだ日中関係はどうなるのか。世界情勢を見れば、原油価格の暴落が暗い影を投げかけている。
平成3年、株式会社船井総合研究所入社。現在、同社、上席コンサルタント。「戦略は思いに従う」を信条にファッションを専門分野として、現在では百貨店、アパレルメーカー、SPA専門店を中心としたアパレル、流通小売業のコンサルティングに従事している。現場支援と通算2000回を超える講演活動により、情熱に満ち溢れた企業づくりにまい進している。この数年のコンサルティングテーマは「永続するための企業ブランド戦略づくり」。社員が誇れる会社を作るためのコンサルティングに全力を注いでいる。
平和でやさしいイメージの未(羊)年とは打って変わって、課題山積。そこで著名な経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、新年を予想する上で、キーとなる5つのポイントを挙げてもらった。連載第8回は、船井総合研究所上席コンサルタントの岩崎剛幸氏による、小売業や文化のトレンド予測を紹介しよう。
(1)“知的刺激”が集客の鍵になる
体験や体感、共感は小売業における集客の一大キーワードだ。
洋服のセレクトショップが今や家具や雑貨、食品なども取り扱うようになっていったのは、お客様のライフスタイルの変化に対応するため、徐々に取扱商品の幅を広げてきた結果である。一方でアパレル専門店としても、今の時代に洋服だけで店の魅力を作りきれなくなっているのは確かだ。今後はいかに異業種を取り込むか、他の市場からどうやってお客様を連れてくるかがポイントとなる。
このような中で2015年は「知的刺激」を、店で提供できるかどうかが重要になる。知的なにおいがするもの、例えば本、勉強会、セミナー、ワークショップなどを店で体験できると面白くなる。
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例えば、出版社の新潮社とライフスタイルブランドのサザビーリーグのコラボで昨年10月にオープンしたla kagu(東京・神楽坂)では、様々なワークショップや各界著名人の対談などを開催し、注目を集めている。また、12月にオープンしたばかりの湘南T-SITEは、蔦谷書店が主体ではあるが、料理塾やワークショップ、ファーマーズ・マーケットなどを開催し、湘南らしいライフスタイルを提案する文化複合施設となっている。