生活保護とは別立ての
困窮者に対する住宅施策の可能性は?

生活保護は切り捨てる? 2015年度予算案第22回基準部会には、社会・援護局長・鈴木俊彦氏も出席していた Photo by Y.M.

 一連の動きは、

「国交省が定めた『最低居住面積水準』という基準は、厚労省によって事実上『生活保護世帯に対しては適用しなくてよい』とされ、それを財務省と内閣が認めた」

 というチグハグな形になっている。「官僚制度自体が内部から破綻?」と考えてもよいところかもしれない。

 しかし、基準部会は、国費、すなわち税金を財源として行われている審議会である。予算ベースで約700万円(委員手当231万円・委員旅費348万円・厚労省庁費113万円 2014年度概算要求による)、当初予定になかった作業班による作業・実態調査を含めても、実績1000万円前後であろう。この「チンケすぎる」と言いたくなる予算の範囲でベストを尽くしたと思われる委員たちの発言から、将来のポジティブな展開につながりそうな発言を3つ紹介して、一連の基準部会レポートの結びとしたい。

生活保護は切り捨てる? 2015年度予算案開会直前、会話する道中隆氏(左)と宮本みち子氏(右)。宮本氏からは、ビッグイシュー基金による若者の住の貧困に関する調査に関しての言及もあった Photo by Y.M.

「戦後、社会保障が何もない時期に発足した制度。もっとスリムにすべきでは。住宅は国交省、教育は文科省。そういう制度設計の見直しという方向性も、ぼちぼちあっていいのでは」(道中隆氏(関西国際大学教授・社会福祉学))

「『自分はここに住んでいていいんだ』という安心感は、すべての人に必要です。それが社会的に包摂するということです」(阿部彩氏〈国立社会保障・人口問題研究所〉)

「(生活保護は)制度疲労しています。抜本的見直しが必要だと思います。(略・日本の豊かさを)維持するために、最も貧困な人たちに手当をしなくちゃいけないけれども、足りていません。やるなら『今でしょ』。外国から見た時に、日本、見習うものが何もありません。住宅政策、建設省と厚生省、今は国交省と厚労省に分かれている。(略)国交省が庶民的。厚労省が逆。米国では住宅局が一括。統合的にどういう仕組がよいのか、考えざるをえない時期。(略)市場家賃、ビッグデータ駆使でかなりのことがわかります。(略)PDCAサイクルを回すことは世界の常識です。国だから遅れていていいわけではなく、最先端ができるはず。待ったなしだと思います」(園田眞理子氏)

 次回は、大阪市で構想されている「生活扶助費の一部をプリペイドカードで支給」というモデル事業をレポートしたい。具体的には、どのように実行されそうなのだろうか? メリットを上回るデメリットが隠れているのではないだろうか? 大阪市のみならず、日本全体にかかわる大問題となる可能性はないだろうか?