イスラエル起業エコシステムの強みと2015年一押しの企業
2015年年初には、大型の買収が相次いだ。アマゾンは、同社にとって初のイスラエル企業の買収を行った。AWS強化のためAnnapurna Labs社を3.6億ドルで買収したのである。マイクロソフトは、イスラエル企業の買収としては17 社目となる、言語解析のEquivio社を2億ドルで買収。ドロップボックスもCloudOnを1億ドルで買収、同社をそのままイスラエルのR&Dとし、ハーマン社はOTAソリューションのRedBend社を1.7億ドルで買収した。
こうしたグローバル企業によるスタートアップ企業の買収(≒イグジット)がイスラエルの起業エコシステムの強みである。2014年に買収された企業は82社(公開情報のみ)。買収総額は50億ドルを超え、1億ドル以上の買収は19件。件数は4分の1であるが、この19件の金額だけで、総額50億ドルの約8割を占めるまでになる。こうした大型の買収を経た起業家が、次の会社を創業する好循環となっており、人によっては、すでに5社目、6社目の起業家もいる。
最後に、今年前半の注目企業をご紹介する。スノボゴーグル風ウェアラブル機器開発のライドオン(RideOn)、スマホでのファイル共有サービスのアバイロ社(Availo)、分散型コンピューティングを活用したビットコイン関連のゼンネット社、(Zennet)、サイバーセキュリティ関連ではセンセシー社(SenseCy)、DNAプロファイリングのジーンソート社(GeneSort) の5社であろうか。
アップル、グーグル、マイクロソフトなど買収する企業が「次」に欲しがるイスラエル企業の第一候補となってくるであろう。