「窓際」に置かれると「錆びる」のはなぜか?
最近、業績の低迷した企業が人員整理という意味でのリストラにどんどん着手する傾向があります。これを批判する人もいますが、個人のキャリアという観点から見ると、むしろ私はよい傾向だと考えています。
まだ企業に余裕のあった時代は余剰人員が出てもリストラせず、「窓際」というポストを用意して、可もなく不可もなくな仕事を与えていました。経済が高く成長していた時代はそうやって我慢しているうちに景気が回復したので、それでもよかったのです。
しかし現在はそんなことをしてもどんどん業績が厳しくなり、結局はリストラの実施に追い込まれ、窓際に置かれていた人は転職市場に出されていくことになります。
その時、リストラされた人たちは窓際に置かれてから2年も3年も経過しています。これが大きな問題で、最前線の仕事から外れて長い時間が経過している人は能力が錆びつき、すぐには使いものにならないことが多いのです。
これまでの経歴を詳しく聞いてみると、過去に素晴らしい業績をあげていたのに窓際に置かれたため楽な仕事に慣れてしまい、妙な勘違いもしてしまっています。「なぜこの人を3年前に市場に出してあげなかったのだろう」と思ったことは何度もありました。
リストラをせず、
「窓際」に留め置くのは本当に温情か
余剰人員をリストラせず、窓際ポストに留め置くのは会社の温情かもしれません。「働き盛りで子育てに一番お金がかかる年代の人を会社が放り出すのは何ごとだ!」という見方もあるでしょう。
会社が一生、その人を雇ってあげられるのならそれでもよいと思いますが、どんな大企業でも永続できるとは限りません。