印鑑は?通帳は?
男性がついつい言いがちなNGワード
すでにおわかりのように、実家の片づけに説得や強制はまったく無意味です。あくまで「片づけさせてね」というお願いモードで挑むのが成功への近道。最大のポイントは、片づけることがいかに親にとっていいことなのかをことあるごとに引き合いに出すことです。中でも「孫が喜ぶ」「孫が遊べる」といったフレーズは最強の殺し文句です。
片づかない実家のままでは、子どもの側が困る、という子どもの都合だけでは、親は決して動きません。実家の片づけは、理屈も正論も説得も通じない世界です。感情と感情のぶつかり合いになった時点でアウト。そこから先に進むのは難しくなってしまいます。
片づかなくて困るのは子どもの方です。親は片づかない部屋に住んでいても、基本的に困ってはいません。あなたのメリットではなく、親のメリットを伝えて、親が自分から自発的に片づけたいと思うようにしなければなりません。
●いきなり財産系を持ち出すNGワード
「通帳はどこ?」
「権利書はどこ?」
「貴重品はちゃんとしまっておいてくれないと困るんだよね」
財産は確かに重要ですが、たまに顔を見せた子どもからいきなり財産の話をされたらどうでしょうか。この子は私のことじゃなくて、財産が心配で帰省しているのね、と悲しくなってしまいます。
特に、どこから手をつけたらいいかわからない男性がついつい言ってしまいがちなので、注意が必要です。
親はお金のことよりも、お金のことを持ち出してきた子どもを通して、自分が老い先短いことをセンシティブに感じ取り、ますます片づけをしなくなります。嫌なこと、見たくないことから無意識に目をそらすのは、いくつになっても同じなのです。
お金の話は、親子だからといっても決して侮ってはいけません。尋ねるのは、片づけをしながら、さりげなく、が基本なのです。