米国の投資環境は非常に良いですが、多くの機関投資家や企業のベンチャーキャピタルなどが目を光らせています。一方アジアには資金を欲している起業家がまだまだいるし、欧州にも資金不足で悩む人々がいます。他人が注目していない点を見るのも競争戦略の一つなのです。

 アジアに焦点を当てているのは事実です。インド、タイ、マレーシア、韓国などのインターネット領域には、eコマースだけでなく、タクシーから不動産、小売流通、コンテンツ、映画チケットのデジタル販売まで無数のサービスが現れています。そこで2~3年ほど事業を継続し、生き残った会社を注視しています。

──過去の金融分野で、最も記憶に残る仕事は何でしたか。

 1996年、ドイツ銀行の投資部門の立ち上げに関わりました。主に債権や為替取引のビジネスを担当しました。10年間で約2000人の社員を登用し、最後は世界で五指に入る投資銀行に成長させることができました。

 最大の貢献は、06年に不動産担保証券の崩壊にいち早く気づいてリスクヘッジしたことです。その後の金融危機で、ドイツ銀行は公的救済を受けずに済んだ数少ない投資銀行です。危機下で結果を出すことこそ、一番大事なことです。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)