再び低成長の兆しを見せる国内企業のIT投資
ITRは、国内企業におけるIT投資動向の包括的な把握を目的としたアンケート調査を2001年より毎年実施しており、2014年10月に実施した今回は通算で14度目となる。ITRの顧客企業やWebアンケートの独自パネル会員のうち、国内企業のIT投資の意思決定に関わる役職者を対象にアンケートを依頼し、1095社より有効回答を得た。
まずは、毎年恒例となっているIT予算額の増減傾向から見る(図1)。2014年度の実績は、前年度と比べて予算を増額したとする企業(「20%以上の増加」と「20%未満の増加」の合計)の割合が23.1%となり、前年度を大きく下回った。
一方で、前年度より減額したとする企業 (「20%以上の減少」と「20%未満の減少」の合計)の割合も下降し、その分「横ばい」が増加した。全体としてはプラス水準を維持したものの、5年振りの高成長となった2013年度と比較すると投資意欲は減退したといえる。2015年度の見通しについても、IT予算の増額を見込んでいる企業の割合は引き続き低下傾向にあり、低水準の成長にとどまると予想される。
このIT予算の増減傾向を指数化したIT投資増減指数(20%以上の減少を-20、横ばいを0、20%未満の増加を+10などとして積み上げて指数化した値)の経年変化を見ると、2014年度の実績値は「1.46」で、概ね前年調査時の予想に近い水準に着地した。
2015年度の予想指数は、1ポイント台を割り込む「0.97」であった(図2)。リーマンショックの影響を受けて大きく落ち込んだ2009年以降低成長を続けていたが、2013年には大企業を中心にアベノミクス効果の影響によりリーマンショック以前の勢いを回復したとみられたが、2014年はその勢いが鈍化した。