病院探しをする際は、どこが自分や家族の病気の治療を得意とするのかが気になるものである。そこで、『ダイヤモンドQ』では、代表的な有名病院同士を診療データで比較して解説した(リーズンホワイ社長・塩飽哲生)。

 今回は、五つの組み合わせで有名病院のデータを比較した。組み合わせは、①国立大学病院の雄、東京大学病院と私立大学病院の雄、慶應義塾大学病院。②関西地方での対決として、京都大学病院と大阪大学病院。③中部地方からは、国立の名古屋大学病院と私立の藤田保健衛生大学病院。④がん専門病院である、国立がん研究センター中央病院とがん研有明病院。そして⑤都内にある私立大学病院、順天堂大学順天堂医院と東京慈恵会医科大学病院である。 

医学界の頂点に立つ東京大学病院だが、やはり得意・不得意な治療分野がある

 調査対象の病気は、患者数が多いか、発症するとインパクトの大きい代表的な病気などを選んだ。がんで13種類、心臓の病気で7種類、脳の病気で5種類、合わせて25種類。

 こうして病気の種類ごとにライバル病院のデータを細かく比べると、各病院の特徴が明確に見えてくる。

 例えば、東大と慶應とを比べると、胃がん、大腸がん、膵臓がん、卵巣がんなどは東大が、一方、肺がん、前立腺がん、食道がん、子宮がんは慶應が得意な傾向にあることが分かる。患者側からは見えにくいが、地理的に近く、規模の似ている病院同士であれば、病院側の戦略として意識的に得意の治療分野が重ならないようにしている可能性もある。得意の治療分野が分かれる傾向は、5組全てで見られた。

 さらに、専門病院にも意外な不得意分野があることが浮かび上がってきた。具体的に言えば、今回取り上げた国がんとがん研の二つのがん専門病院である。両病院の全国順位は、大半のがんで1桁台の上位に入り、専門病院の特徴が顕著に表れているように見える。

 しかし、肝臓がんに限って見ると、二つの病院のDPCデータによる患者数の全国順位は、国がんが28位、がん研が107位と、実はそれほど高くないのがわかる。ちなみに、全国トップは東大、2位は順天堂だ。国がんやがん研のような、専門病院の中のさらにトップであっても「がんだから国がんか、がん研」と単純に考えない方が良いケースもあるかもしれない。

 実は欧米では、病院選びにこうした個別の病院の詳細な診療データを活用することは珍しくない。医療政策や医療の質の問題に詳しい、国際医療福祉大学の武藤正樹教授は、「診療データの活用については、日本は先進国の中では遅れている」と指摘する。その上で、国内の状況について、「日本でも患者数や手術件数、専門医の数などの客観的なデータが病院選びに広く利用されるようになれば、各病院の技術の向上や病院の役割分担の明確化につながる」と話す。患者一人一人がデータを使って病院を選ぶことが、医療現場を良くすることにつながるという指摘である。

 ぜひ、この後の病院対決の記事で具体的なデータの読み方を学び、データによる病院選びを実践していただきたい。文中の順位や専門医の人数などは『ダイヤモンドQ』(創刊準備3号)の病院ランキング用データを用いている。