消費税導入の経緯と
その特徴を振り返ると

 いよいよ8月の選挙戦本番に向けて、争点を明確にすべく、各党のマニフェスト、政権公約の公表が始まっています。既に民主党、公明党、社民党等が発表したほか、自民党は今週中にも発表の見込みのようです。

 前回のコラムでも指摘したように、増加傾向にある社会保障費と低迷する景気の中、日本の財政再建は待った無しの状況になってきています。各党のマニフェストや、それに基づく発言の中でも、財政再建への考え方が示されていますが、今回は消費税に関する方針に絞って、確認してみたいと思います。

 歴史を辿ると、日本ではおよそ10年にわたる政治的議論を経て、1989年に消費税が導入されました。その後、村山内閣のもとで5%(うち、地方自治体の取り分としての地方消費税1%)への引き上げが決定、1997年橋本内閣が実施し、現在に至っています。

 まずはその推移と、歳入に占める割合について、下のグラフをご参照ください。右下の「1」、「2」の数字をクリックしながら見比べて頂くと、「1」が「税項目別歳入推移」、「2」が「項目別歳入内訳」(2007年度)となっています。

【出典:財務省/グラフ詳細は左下の「vizoo」マークをクリック!】

 グラフで見て分かることは、まず消費税の重要性とその特徴になります。近年消費税は10兆円超の財源となっており、「所得税」「法人税」と合わせた三大税目の一つとして、今や欠かすことのできない税金であるといえます。

 また、消費税の特徴として、景気の影響を受け難いと言う点が、グラフからも見て取れます。法人税は不況になれば法人の利益の減少に伴って税収も大きく落ち込みますし、所得税も同様に景気の影響を大きく受けます。一方で、生活をするうえで必須な消費は貯蓄を切り崩しても支出しなければならないため、消費税は不況下でも安定して推移をしているのです。