悪化する雇用と低迷する経済

 足元での失業率の悪化や、昨年後半に社会問題化した「ハケン切り」の記憶も強く残る中、各党共に経済政策と共に、雇用政策を争点の一つとして位置付けています。

 はじめに、現状を何点かおさらいしてみます。

 最新の失業率の数字を見ると、長引く景気低迷の影響を受け、日本の失業率は2009年6月には5.4%となり、過去最悪だった2003年4月の5.5%に迫る勢いとなっています。これで5ヵ月連続での悪化となっていますが、目先では1年3ヵ月ぶりに改善したアメリカのように、7月の失業率が改善に転じるかが注目されます。

 次に、「ハケン切り」の背景ともなった、日本の雇用形態の変化を確認してみます。下のグラフをご覧ください。

【出典:統計局/グラフ詳細は左下の「vizoo」マークをクリック!】

 日本の雇用形態は、長期的にみると正規雇用から非正規雇用へと比重が切り替わってきたことが見て取れます。2008年には非正規雇用者数の全体に対する割合は33.4%と、ついに3分の1を超えました。一方、2000年代に入ってから正規雇用者数は徐々に減っており、企業が正規雇用の代わりに非正規雇用にシフトした事実が見て取れます。

 この背景には、製造業派遣の解禁等の制度上の後押し、企業側の人件費の変動費化の意識の高まり、人々の働き方に関する価値観の多様化等々、様々な要因が考えられるとは思いますが、現野党中心に、「小泉改革」における派遣業拡大の負の側面として、このシフトを捉える向きがあるのも事実です。