ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

【特集・クラウドと、どう向き合うか(2)】

企業のどんなニーズにも応えるフルライン戦略
――日本IBMのクラウド事業

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第79回】 2015年2月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3

パブリッククラウド市場の
コスパ競争に今後も注力

 さらに昨年10月、IBMのクラウド事業において非常に注目される動きがあった。同社にとってはとくにIaaS/PaasS分野で競合相手となるマイクロソフトと提携したことだ。その内容は、両社が持つ企業向けソフトウェアを、それぞれのIaaS/PaaSを連携させてユーザーに提供していこうというものだ。

 両社の提携が注目されるのは、グローバルなIaaS/PaaS市場においては、かねてアマゾン、マイクロソフト、グーグルの3社が激しいコストパフォーマンス競争を繰り広げており、これに昨年からIBMが本格参戦した構図になっているからだ。そうした背景があるだけに、今回の提携はIBMがマイクロソフトと“共同戦線”を張ることによって、同市場でのコストパフォーマンス競争から離脱したようにも見て取れた。

 だが、小池氏はこの見方について「全く違う。マイクロソフトとの提携はそれぞれのIaaS/PaaSにおける利便性を高めるための施策で、まさしくユーザーニーズを反映したものだ。IBMは今後もこの市場でコストパフォーマンスを追求し、競合を打ち負かす覚悟で事業を展開していく」と真っ向から否定した。ただ、この分野では依然としてアマゾンが大きく先行していることから、マイクロソフトとの提携は“アマゾン追撃に向けた共同戦線”という側面もありそうだ。

 IBMのクラウド事業は、米国本社が先頃発表した2014年12月期の決算によると、前期比60%増の急成長を果たした。小池氏によると、日本市場でも同等に成長したという。こうした勢いをさらに加速させようと、IBMはこれまで複数の組織で展開していたクラウド事業を、今年からビジネスユニットとして一本化した。

 日本IBMでは小池氏がそのクラウド事業部門を統括する。昨年は事業の中身を一気に整備し、今年は組織も一枚岩になって突き進む構えだ。果たしてアマゾンをキャッチアップできるか。IBMにとって今年はその正念場となりそうだ。

previous page
3
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

IT&ビジネス 業界ウォッチ

IT業界で話題の新サービス・新製品のニュース、これから話題になりそうな新ツール、知っておきたい各種の統計調査……などなど、経営効率化に寄与するIT業界の今のうごきをレポートします。

「IT&ビジネス 業界ウォッチ」

⇒バックナンバー一覧