おしゃれすぎてとうとう銀座デパートに!
「セレブな干物空間」はなぜできた?

登久子さんお手製の味噌を使った、ご飯のおかわり必至の「銀だら味噌漬け」のパッケージも、言われなければ魚が入っていると思えない!

 俊成さんの「干物レボリューション」は続く。発送用の干物を入れるのは、それまで白い発泡スチロールだった。「発泡スチロールは捨てるのにもかさばるし、素っ気ない」と、サスニンベンのロゴデザインが入った段ボールのギフトボックスに。シンプルだがとても「干物が入っている」と思えないカッコよさ。

 商品のパッケージも型破りだ。たとえば人気商品の「銀だらの味噌漬け」や「紅鮭の味噌漬け」のパッケージは、ほとんど商品の姿は見えない。2匹をまとめて微妙な透け感のあるフィルムに入れ、帯をかけたラッピングは、まるで中にフィナンシェが入っているかのよう。サスニンベンでは鮮魚も扱っているが、しらすやエビも、おなじみの「白いトレイ」入りではない。透明フィルムに入れて上を結んだ姿は、これまた、マカロンかクッキーかのような佇まい! 史上初「スイーツのような水産加工品」に目がハートになりそうだ。

 WEBサイトも立ち上げた。プロ級の腕前の俊成さんが撮影した写真は、どれも美しい。スタイリングを施した料理写真はシズル感もバツグンだ。デザインも「魚屋感」は皆無。スタイリッシュなインテリアや雑貨のサイトにしか見えない。ネットショップも、干物は切り抜き画像を使って、どこかポップな仕上がりだ。干物、ポップ。この文字を並列して書いていることだけでも感慨深い……。

「おしゃれすぎる干物サイト」のPR効果は大きかった。わたしのようにネットサーフィンでサスニンベンに辿りついた銀座のデパートから期間限定で出店依頼があったのだ。

銀座のデパート出店時のディスプレイ。スタイリッシュなディスプレイは鮮魚売り場の話題に!

「銀座のお客さまの印象に残るディスプレイを」。店舗スペースは鮮魚売り場にもかかわらず、俊成さんは「外国のお客さまのことも考えて」従来のパッケージに、英文の商品説明が入った帯をかけ、ショーケースの中には、黒い玉石を敷き詰め、高低差のあるブラックの什器を備え、干物を配置した。

「イメージは高級ショコラのショーケースです」

 鮮魚売り場に突然登場した、常識を覆す「セレブな干物空間」に話題騒然。干物の購入ももちろんのこと、そのディスプレイを撮影しにくるお客が後を絶たず、デパートのバイヤー担当が「勉強のためにサスニンベンさんのコーナーを見に行くように!」と周囲に通達したというほどだ。

「立ち寄っていだたいて、写真撮影だけでも大歓迎!」とfacebookで呼びかけたところ、続々と写真が投稿されて、またまた話題拡散

 その展示風景はFacebookなどのSNSでも拡散。ネットショップには明らかに、これまでとは違う若い層や女性からの購入も増えてきた。

 この斬新なアイデアはいったいどこから……? と俊成さんに尋ねると「僕にとっては、これまで扱ってきた商材が、たんに魚になっただけなんですよ」との答え。威志さんが「わたしは完璧に魚屋の発想です。でも息子は『魚屋目線』じゃないんでしょうね」と語る。親子の絶妙なタッグが、サスニンベンを支えている。