「お寺おやつクラブ」の活動を紹介する松島靖朗氏(奈良県・安養寺住職)
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 たとえば、お寺に集まる菓子などの供物をシングルマザーに手紙とともに提供する「お寺おやつクラブ」(現在、全国150寺(宗派不問))の活動を続ける住職・松島靖朗氏は、

「子どもの友達が遊びに来た時に、おやつを出せた」
 「息子が『ありがとう!』と見せたことのない笑顔を見せた」

 といった母親からの感謝を紹介し、

「それらの反応が励みになり、モチベーションが高まりました」

 と言う一方で、

「おやつを月に一度だけ送るのでは、力不足です。育ち盛りの子どもたちが、安定して食べられないと」

 と限界を述べた。それは、行政あるいは行政並みの体力のある組織にしか実現できないことであろう。しかし松島氏は、

「お寺おやつクラブを始めたとき、『見守ってくれる存在がある』ということを伝えられるとは、想定していませんでした。今、日本全国には7万の寺があります。コンビニより多いです。しかも日本では『坊主丸儲け』と思われていますから、少しでも良いことをすると『おっ』と思われます」

 と、会場の笑いを取り、

「7万の寺、8000万人の仏教徒が動いたら強いです。子どもの貧困問題、緩やかにでも解決するのではないでしょうか?」

 と結んだ。

 一人が全力を尽くしても、できることは多くはない。本当は「したい」と思っていないのに「世の中のために」と無理に続ける活動は、所詮は長続きしない。しかし、「これだけなら、してもいいかな?」が、約一億人分集まれば、どれほど大きな力になるだろうか?

 本シリーズでは、貧困と生活保護とその周辺にある問題を解決していくための具体的な糸口や取り組みを、貧困の当事者たち・生活保護を利用している当事者たちを含めて、問題解決に関わる人々の姿とともに紹介していきたい。今後もご期待いただきたい。

 次回は、CPAOが定期的に開催している「子ども食堂」の様子を、関係者の言葉とともに紹介する予定である。