折しも、シャープとJDIは米アップルへの収益依存から抜け出そうと、中国のスマートフォンメーカーに、液晶パネルの拡販を強力に進めている最中でもある。統合に伴う独禁当局による“介入”の影響をいかに抑えながら、業界での競争力をどう確保していくか。それを目下、水面下でシミュレーションしているというわけだ。

 日本の液晶産業のあるべき姿について、大局的に見極めようとしているとも映るが、一方で、シャープとJDIの現状に目を向けると、統合論にはやむにやまれずという“切迫感”も顔をのぞかせる。

 特にシャープは、足元で業績が一気に暗転し、予断を許さない状況になってきた。2月初めに300億円と発表していた2015年3月期の最終赤字予想は、年明け以降も業績下振れが続いており、決壊した状態。赤字体質の太陽電池事業の撤退に踏み込めば、損失額は今後一気に膨らむ。

 となると、銀行団から運転資金として引き出した3600億円の協調融資に付随する、財務制限条項に抵触する可能性が極めて高い。抵触によってシャープは、銀行に完全に主導権を奪われる状態に陥ってしまうのだ。

 今後の金融支援を得るには、事業の構造改革に対する目線を銀行団としっかり合わせることが不可欠だが、シャープはこと液晶パネル事業については、なぜか目線を合わせようとしていない。

 液晶パネルは想定より下振れしたものの、通期で営業黒字の見通しのため、抜本改革はまだ不要という意識が強いからだ。

「事業の変動に耐え得る十分な資本もなければ、キャッシュもない貧乏企業がやるような商売ではもはやないんですよ」

 銀行幹部がそう話すように、高い基礎体力と資金力が生き残りの必須条件の液晶パネル業界において、シャープに「来期こそは」と語っていられる財務的な余裕はない。それでも「技術力で何とかカバーできるんだと勘違いしている部分がある」と、経済産業省の幹部も経営陣の姿勢を疑問視する。

 3月初めには、1年前に解散したばかりの「構造改革実行本部」を慌てたようにまた立ち上げたが、その中で出てきたのは、借金を優先株に振り替えるデット・エクイティ・スワップ(DES。債務の株式化)という、銀行団の神経を逆なでするような案だった。