スマートフォン向けの中小型液晶へのシフトで、経営再建が軌道に乗りつつあるシャープ。ただその裏で、改革の波に取り残されたある事業部によって、とんでもない事件が巻き起こっていた。
「下期の経営計画は、一事業部のわずかな綻びが全社に影響しかねない、『薄氷』とも言える状況です」
10月1日。シャープの高橋興三社長は、今年度下期の経営方針説明に当たって、全社に配布した文書の中で、経営の先行きに対する強烈な危機感をあらわにしていた。
「もし少しでも、『我々は危機を乗り越えた』と思っている方がいれば、直ちに考えを改めて下さい」
そうつづってまで、高橋社長が社内の引き締めを図ろうとしたのはなぜか。時計の針を9月末に戻してみると、その理由がはっきりと分かる。
実はそのとき、高橋社長が一事業部のほころびと指摘した、ある「事件」が起こっていた。
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