累計発行部数300万部!「断捨離」を提唱した、クラターコンサルタントのやましたひでこ氏と、はやくも第5刷が決まった『世界に1つだけの子育ての教科書』著者で行動分析学者の奥田健次氏の対談後篇!
子育てにこそ、「断捨離」が活用できるとは、どういうことか? (構成・鈴木雅光)

「親と子は別個体」だと認識しよう

やました・ひでこ
東京都出身。石川県在住。早稲田大学文学部卒。学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。 「断捨離」は、心の新陳代謝を促す、発想の転換法でもある。全国展開している「断捨離セミナー」は、年齢、性別、職業を問わず受講者から圧倒的な支持を得ている。 処女作『断捨離』(マガジンハウス)は、日本はもとより台湾、中国でもベストセラーとなり、『俯瞰力』『自在力』(いずれもマガジンハウス)の「断捨離」三部作他、著作・監修を含めた関連書籍は累計300万部を超えるミリオンセラー。

奥田 やましたさんは、2012年5月号の「プレジデントファミリー」で、“「断捨離」子育て術”という特集をされていますね。でも、なかなか子離れできないケースが多いですよね。
 特に、私が接しているような、問題行動がある子どもであるほど、親は自分たちの身を犠牲にしてまで面倒見ようとする。
でも、ここに問題点があることに気づかない親が非常に多い。

やました 親はどうしても子どものことが心配ですからね。心配というのはあくまでも表向きの理由で、要は子どもを自分の手の届くところに置いておきたいと思うのでしょう。
 それは、「断捨離」をしなければならないと思いつつ、なかなかできずに先送りしているのと同じです。
 かく言う私も、自分の子に対してどうしてもできなかったことがありました。
 奥田先生の本に、子どもが言うことを聞かなかったら隔離するという話がありましたよね。あれ、なかなかできなかったのですが、私の代わりに祖父がやってくれまして、それはありがたかったですね。

奥田 親と子の関係は、社会的、生物的には親子でも、心理学的にはまったくの別個体と考えるべきです。血は繋がっていても、法律上の親子関係だったとしても、まったくの別個体だと。この点をきちんと親が認識しておく必要があると思います。
 障害のある子が生まれた場合、親御さんの多くは、自分たちで最後まで面倒見ようとするのですが、冷静に考えてみれば、そんなの絶対に無理ですよね。だって、親のほうが先に死んでいくのだから。
 両親が亡くなったとき、子どもが自立していなかったら、どうなるのでしょう。だからこそ、ハタチまでには家を出て行ってもらうことを前提にして子育てを行う。必要に応じて、施設に入れることも考えたほうがいいでしょう。
 先ほども申し上げましたが、「私が何とかしなければ」といった呪縛から親が解放されなければなりません。

やました まさに、それをモノでやっているのが「断捨離」です。たとえば、洋服でも、冬が終わったにもかかわらず、タンスに入れっぱなしという人が多いですよね。そういう人には、ちょっとした脅しをかけるんです。
 「タンスの中に腐乱死体とミイラが転がっていますよ」と。
 結局、使わないのにずっとタンスに冬服を入れっぱなしでは、腐乱死体が増える一方ですからね。