「断捨離」は単なるモノの片づけではない。その先には、さらに奥が深い精神世界が広がっていた。
「モノを捨てることで心の軽やかさを手に入れる」その先にあるものは何か?
累計発行部数300万部超!「断捨離」を提唱した、クラターコンサルタントのやましたひでこ氏に、早くも5刷となった『世界に1つだけの子育ての教科書』著者で行動分析学者の奥田健次氏が切り込む。
親子関係にも「断捨離」が必要とはどういうことなのか?(構成・鈴木雅光)
モノが増えると悩みも増える
東京都出身。石川県在住。早稲田大学文学部卒。学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。 「断捨離」は、心の新陳代謝を促す、発想の転換法でもある。全国展開している「断捨離セミナー」は、年齢、性別、職業を問わず受講者から圧倒的な支持を得ている。 処女作『断捨離』(マガジンハウス)は、日本はもとより台湾、中国でもベストセラーとなり、『俯瞰力』『自在力』(いずれもマガジンハウス)の「断捨離」三部作他、著作・監修を含めた関連書籍は累計300万部を超えるミリオンセラー。
奥田 やましたさんとは同じ芸能事務所の所属。今年の新年会で初めてお会いしたのですが、すぐに意気投合してしまいました。
「断捨離」という言葉は、本当に浸透していますね。まず、基本的な「断捨離」のポイントから教えてもらえますでしょうか。
やました 世の中、本当にモノがあふれているじゃないですか。引き出しの中一つ取っても、要るモノと要らないモノが混在している。
でも、捨てようとすると、何となく抵抗感がわいてくる。そこを乗り越えて、要らないモノを捨てると、引き出しの中がわかりやすくなってくる。それを繰り返しているうちに、思考や感覚、感性、特に「快」「不快」をかぎ分ける力がどんどんスパイラルアップしていくというイメージです。
奥田 う~ん、わかるなあ。僕も大学教員として給与を得ていた頃、軽井沢に古い別荘を避暑と書斎用に買ったんです。それほど高いものではないのですが、もちろん安いものでもない。不動産ですので価値も変動します。とても重宝したのですが、こうした価値が変動するものを所有すると、心のどこかに心配の種を抱えてしまう。
聖書にはあちこちに「モノが増えると心(心配)が増える」といった言葉があるように、所有物が増えると「値上がりしたから少しでも早く売ってしまおう」とか「今、売ったら損してしまうな」とか、考えごとが増えてしまいます。
それで、そういうのに縛られているのに気づいたとき、損してもいいから売ってしまおうと思い、実際に手放してみました。
すると、気持ちが晴れ晴れしてくるんですね。損得の結果とは別のところで、心の開放感を得たというか。