中国人も懸念「このままでは
共産党政権の維持が難しくなる」

 中国経済が抱える重要な問題の一つに、リーマンショック以降に実施した大規模な景気対策の後遺症がある。当時の胡錦濤政権は景気を浮揚するために、総額4兆元(約76兆円)の刺激策を実施した。その結果、中国経済は大きく盛り上がり、世界経済の失速を軽減する役割を果たした。

 一方、大規模な景気対策によって広い分野にわたって投資が盛り上がったため、経済全体の供給能力が大きく上昇した。世界経済が堅調な展開を続ければ、その供給能力がスムーズに輸出につながるはずだった。

 ところが、米国を除いて主要国の景気回復が遅れたこともあり輸出が伸び悩み、中国経済全体として過剰な供給能力に苦しむことになった。それは、足元で消費者物価指数が年率で0.8%、卸売物価指数は4%を超えるマイナスに陥っていることも見ても明らかだ。

 もう一つ無視できない問題は、中国国内の経済格差だ。元々、中国では工業化が進む都市部と農村部の経済格差が指摘されてきた。共産党政権は格差是正を目指すと公言してきたものの、最近の状況を見ると、格差が顕著に縮小しているとは考えにくい。

 むしろ、ウイグル自治区などでは格差が拡大しているとの指摘もある。中国は多くの民族を抱える複雑な国内事情がある。今まで、それぞれの民族が抱える不満等を、経済成長の果実を配分することで何とか抑えてきた。

 しかし、経済成長が急減速すると、分配すべき経済的な果実が大きく増えない。それでは、地方の人たち、特に少数民族の人たちが中国共産党政権に追随するインセンティブは低下する。

 中国の友人の一人は、「このまま経済の低迷が続くと、次第に共産党が政権を維持するのが難しくなる」と指摘していた。李首相も全人代で、1000万人の雇用を創出するためにも、経済成長を維持することの必要性を唱えている。