なにげないことが
思いがけず心に響く

 だから受け入れるというのは大きなことだと思ったの。
 タオルでおむすびを包むのも、いつもやっていることだけど、こういうなにげなくやっていることが思いがけず相手の心に響くことがあるんですね。
 でもそのどこが相手に響くかは、こちらにもわからないことですから、やっぱりわたしは10の工程があれば、1から10まですべてに手をかけて心をかけて丁寧にやっていきたい。
 映画の上映から20年が経ちますが、今も強くそう感じています。

93歳集大成書籍への想いとは?

 ずっと、このことを話したかったの
 ずっと、このことを書きたかったの
 ずっと、このことを伝えたかったの
 透明のこと。

いちばん大事なのは、待つことです。
 母性に立ち返るとき、問題は自然に解決します。
  「いのちのうつしかえ」のとき、人も透明になるのです。

 透明だと、ほんとうに、生きやすい。
 何かになろうとしなくても、
 それは自分の中にすでにあるものです。
 透明になって真実に生きていれば、
 それがいつか必ず真実となってあらわれます。
 だからわたしたちに今できることは、
 ただ精一杯、真面目にていねいに生きていく、
 これだけだと思うのです。

 このたび、数々の方にお世話になりながら、わたしがこの20年あたためてきた「透明」をテーマした書籍『限りなく透明に凜として生きる』を発刊しました。

 よろしければ、一度お読みいただけると幸いです。
(本文中写真は編集部撮影。次回につづく)

<著者プロフィール>
佐藤初女(さとう・はつめ)
1921年青森県生まれ。青森技芸学院(現・青森明の星高等学校)卒業。小学校教員を経て、1979年より弘前染色工房を主宰。老人ホームの後援会や弘前カトリック教会での奉仕活動を母体に、1983年、自宅を開放して『弘前イスキア』を開設。1992年には岩木山麓に『森のイスキア』を開く。助けを求めるすべての人を無条件に受け入れ、食事と生活をともにする。病気や苦しみなど、様々な悩みを抱える人々の心に耳を傾け、「日本のマザー・テレサ」とも呼ばれる。1995年に公開された龍村仁監督の映画『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』で活動が全世界で紹介され、シンガポール、ベルギーほか国内外でも精力的に講演会を行う。日本各地で「おむすび講習会」を開くとすぐ満員になる盛況ぶり。アメリカ国際ソロプチミスト協会賞 国際ソロプチミスト女性ボランティア賞、第48回東奥賞受賞。2013年11月の「世界の平和を祈る祭典 in 日本平」でキリスト教代表で登壇。チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王と初対面。その際、おむすびをふるまう。『おむすびの祈り』『いのちの森の台所』(以上、集英社)、『朝一番のおいしいにおい』(女子パウロ会)、『愛蔵版 初女さんのお料理』(主婦の友社)、『「いのち」を養う食』(講談社)など著書多数。