「目標未達なら辞任」は短絡思考
求められるのは説明責任

足元の物価低迷に日銀がどう対応するのかは、市場でも大きな関心事だ
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 日銀は17日開いた金融政策決定会合で、現状の金融緩和の継続を決めた。原油安の影響で目先のインフレ率は上昇しにくく、0%程度になる可能性もあるが、物価の上昇基調は崩れていないとしている。

 黒田東彦総裁の記者会見では、面白い光景もあった。質問したのは、元日経記者の土屋氏。2%インフレ目標の達成を2年程度と言っておきながら、3年というのは日本語でない、岩田副総裁は目標達成できない場合に辞任すると言ったがどうなのか、などと質問していた。ただし、黒田総裁が答えているときに、被って質問したりと直情的な口調で冷静さを欠いていたので、黒田総裁は軽くいなしていた。

 この記者は、かつて証券会社の損失補填事件で名をはせたが、経済記者というより事件ものの「社会部」系ではないか。個別事件と同じノリで、目標達成ができないことから辞任を迫るという論法であったが、もう少しインフレ目標の経済学を勉強したほうがいいだろう。

 いずれにしても、2%インフレ目標をどう考えるべきか。

 インフレ目標はガチガチのルールではない。バーナンキの言を借りれば、市場とのコミュニケーションツールである。ガチガチのルールではないが、それが達成できない場合には、説明責任を果たさなければいけない。だから、目標達成ができない場合には、即辞任というのは、社会部系新聞記者の短絡思考である。実際、岩田副総裁も説明責任をまず果たすと言うのであるから、辞任という話にはならない。