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【特集・クラウドと、どう向き合うか(3)】

なぜ富士通は、自社の全システム
1万3000台のサーバをクラウドへ移行するのか

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第82回】 2015年3月25日
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力の入れようがうかがえる
3つのサービス

 では、FUJITSU Cloud Initiativeの中でも、とくに富士通の力の入れようをうかがうことができるサービスを3つ取り上げておこう。

 1つ目は、「FUJITSU Cloud IaaS Trusted Public S5 専用サービス」(以下、Trusted Public S5 専用サービス)。

 これは、物理サーバ、ストレージ、ネットワーク環境の全てのリソースを個別の顧客専用に提供するパブリッククラウドサービスである。パブリッククラウドとプライベートクラウド双方のメリットを併せ持ち、これまでパブリッククラウドの利用が難しかった個人情報を扱う行政機関を医療機関、または企業内に閉じたシステムを活用していた顧客も、安心してパブリッククラウドを利用できるようにするという。

 特徴としてはTrustedの名の通り、稼働実績99.9998%の高可用性や、ISO27001およびFISC準拠のセキュリティ、数万件のシステム構築実績に基づいたテンプレートによるインフラ構築スピードの速さなどが挙げられる。加えて、クローズドネットワークや顧客ごとのセキュリティポリシーへの対応、リソースを共用するパブリッククラウドとの連携が容易なことも、同サービスならではだ。

 こうした特長から、同社ではこのサービスの適用領域として、セキュリティや性能面で安定した基盤が必要な業務・業界に最適とし、クローズドネットワークが必要な「企業グループ内利用」や政府・金融・自動車などの「業界内クラウド」、食・農業・医療・介護などの「社会システムクラウド基盤」といった幅広い利活用を想定している。

 2つ目は、「FUJITSU Cloud IaaS Private Hosted」(以下、Private Hosted)。これは、運用基準やセキュリティポリシー、サービスレベルを顧客の要件に応じて、個別にカスタマイズ可能なプライベートクラウドを富士通のデータセンターから提供するサービスである。

 同社ではこのサービスの特長として、基幹システムに利用できる点や、プライベートクラウドながらリソースを従量課金で利用できる点、、さらには高品質な運用サービスやグローバル対応が可能な点を挙げている。

 これら2つのIaaS型サービスに共通するのは、「パブリッククラウドとプライベートクラウド双方のメリットを併せ持つ個別の顧客専用サービス」であることだ。サービスの種類でいうと、Trusted Public S5 専用サービスはパブリッククラウド、Private Hostedはプライベートクラウドだが、両側からのアプローチによって顧客の多様なニーズに応えようという富士通の意図がうかがえる。

 そして3つ目は、「クラウドインテグレーションサービス」。小田氏が強調した「インテグレーション」の具体的なサービスである。多種多様なクラウドを組み合わせ、短期構築から運用管理まで一貫したサービスを提供するものだ。このため、クラウドスペシャリストを100人、クラウドインテグレーターを2000人を配備しており、「クラウドベンダーとして最大規模の体制」(小田氏)を整えている。

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松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

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