親は子どもに働く姿を見せるべき

奥田健次(おくだ・けんじ)
臨床心理士/専門行動療法士/行動コーチングアカデミー代表。常識にとらわれない独自の指導プログラムにより、さまざまな子どもの問題行動を改善させる行動分析学者。数万件以上の難問題を解決してきた手腕から「子育てブラック・ジャック」と呼ばれ、日本各地のみならず世界各国から指導依頼を受ける国際的セラピスト。『NNNドキュメント』『スッキリ!!』では、「今、最も注目されている教育者」として紹介。『あさイチ』他にも出演。著書に、『世界に1つだけの子育ての教科書』『拝啓、アスペルガー先生【マンガ版】』『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』『メリットの法則』など。

奥田 子どもの頃、お父さんに遊んでもらったことはあります?

石坂 父は遊園地に行ったりするのは大嫌い。並ぶのが面倒くさいという人。だから、現場に連れて行かれてユンボ(一般には油圧ショベル、パワーショベル、バックホー等と呼ばれる建設機械の呼称)を乗り回したり、ユンボのバケットに小学生だった私たち3きょうだいを入れて、ぐるぐる回したり。

奥田 現場が“石坂遊園地”(笑)。

石坂 野山にも連れていかれました。野猿のように走り回って山菜をつんで、うちに帰って天ぷらにしたり(笑)。

奥田 その当時は職人の人たちと一緒の飯場生活?

石坂 小学2年の頃、自宅に職人さんたちが住み込むようになり、飯場生活が始まりました。その頃の写真を見ると、私は強面のお兄さんたちと一緒に写っています。あぐらをかくお兄さんの膝にちょこんと乗っていたり、肩車をされていたり。

奥田 子どもに親の仕事の現場を見せるのはすごく大事。職人さんたちにかわいがられながらいろんなことを学んでいく。まわりから見たら、ちょっとコワいお兄さんたちだけど(笑)。

石坂 私にとっては当たり前の環境。だからコワいとか思わなかった。石坂産業で働いても、出入りの強面の業者さんとも普通に話せた。突っぱねるところは突っぱねた。廃棄物処理代金は、現金か売掛で払ってもらうのが普通ですが、当時は「現金でツケる」人もいたんです。
 それも当たり前のように「今日は“現ツケ”ね」と言うので、「“現ツケ”って何よ? うちは飲み屋じゃないんだよ」とこの制度を廃止しました。「おまえ、生意気だ!」とか「なんだ!小娘!」とか、すごまれましたが(笑)。

奥田 ダイオキシン騒動後に廃棄物の焼却を止めて、廃棄物の委託先を探しましたよね。全国の産廃業者の社長と直談判するわけだけど、そのときに子どものころからの経験が活きたのでは?

石坂 そうだと思います。父が自分の仕事の現場を見せてくれたことや飯場生活によって知らず知らずのうちに学んだことは大きいんです。