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【特集・クラウドと、どう向き合うか(4)】

製品名から「ウィンドウズ」を外してまで
競合他社と手を組むマイクロソフトの狙いとは

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第83回】 2015年4月9日
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 日本ではこのクラウド3兄弟を昨年来、同社が運営する国内データセンターから順次提供開始しており、2.5倍の成長率の原動力となっている。

 にもかかわらず、平野氏がチャレンジャーの姿勢を強調するのは、競合他社への攻勢もさることながら、「当社にとってクラウド事業の推進は大きなビジネスモデルの転換となるだけに、会社そのものを変革していくという強い意思が不可欠だ。そのメンタリティにチャレンジしなければならない」(平野氏)からだ。これは過去に成功体験を持つ同社の危機感の表れともいえる。

特徴は「シームレスな利用環境」と
「パートナーエコシステム」

 では、マイクロソフトのクラウド事業の特長はどこにあるのか。平野氏はとくに、「シームレスな利用環境」と「パートナーエコシステム」の2点を挙げた。

 まず、シームレスな利用環境を実現するうえで同社が掲げる戦略のキーワードとなるのが、「クラウドOS」である。

 クラウドOSとは、ユーザー企業が個別にシステムを所有する「オンプレミス」やそれをクラウド環境に移行した「プライベートクラウド」、サービスプロバイダーが提供する「パートナークラウド」、そしてマイクロソフトが提供するパブリッククラウドに対して、一貫したプラットフォームを提供することを意味した言葉である。

 したがって、企業は例えばオンプレミスとパブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドな環境でも、同じ使い勝手でシームレスに利用できるようになるのである。

 このクラウドOS戦略は、もう1つの特長として同氏が挙げたパートナーエコシステムにおいても大きなアドバンテージとなっている。クラウドOSの軸となっているWindows環境においては既に多くのオンプレミスユーザーが存在し、それらユーザー企業に対して導入実績を上げてきた多くのパートナー企業からなるエコシステムが既に構築されているからだ。そうした背景もあって、マイクロソフトはクラウドOS戦略を掲げた当初から、パートナークラウドという存在を明確に表している。この点は、まさにマイクロソフトならではの取り組みである。

 平野氏はさらに、これら2つの特長に加えて、マイクロソフトのクラウドサービスがユーザー企業やパートナー企業にとって「安全・安心」であることを強調した。これはもちろん、サービスのセキュリティレベルが高いこともさることながら、「当社が高品質なデータセンターを日本国内で運営し、それぞれのサービス展開において、お客様やパートナーの方々の声をしっかりとお聞きすることで、クラウドベンダーとしての“顔”を前面に出した形で信頼していただけるようになってきている」(平野氏)という自信の表れでもある。

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松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

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