「参加プログラムは参加者自身が選ぶ」ことで
社員の思いを重視しているというメッセージが伝わる

 同様に、会社が参加者を指名したり、階層別に参加者を特定したりして、参加を義務化して集合研修を実施するのではなく、どの研修に、いつ参加するかを、他の誰でもない、参加者本人に選ばせることは、モチベーション向上の観点から効果的だ。

 この方式を導入すること自体、会社が、上司や人事部の見方以上に、自身の自己評価に重きをおいていますよ、ご自身のスキルを向上したいという思いを何よりも重要に考えていますよというメッセージを伝達する役割を果たす。

 中には、どのスキルを向上したらよいかわからないという社員もいるだろう。そうした社員のために、定期的なマネジャーとメンバー、人事部とメンバーとの面談が必要になってくる。その効果的な方法については別の機会にご紹介したい。

 前回と今回で取り上げさせていただいた、集合研修の従来の鉄則がビジネス伸展を阻害している状況や、従来の鉄則に拠らない新しい演習プログラムに関しては、多くのビジネス部門の方々の賛同を得てきた。一方で、人事部門や教育部門の方々には抵抗感を持って受け止められている。

 集合研修担当者が、一生懸命座席札を作成したり、座席図を作成したりしなければならないと思い込み、お仕着せの研修づくりに終始する理由は、その目的意識が、参加者のモチベーション向上になく、研修担当者の不都合解消にあるからだと言わざるを得ない。

 いくら言葉で「皆さんの自発性を重視しています」と伝えても、肝心の研修の枠組み(=行動)が管理するばかりの代物であれば、社員のヤル気をそぐ結果になってしまう。言葉よりも、こうした行動でのコミュニケーションこそが、人の無意識に大きな影響を与えるからだ。

 どうしてもこうしたスタイルを変えられず、社員の自発性やモチベーション向上に目を向けられない研修担当者は、自ら適所へ異動していただくことが、ビジネス伸展の第一歩だ。


※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。