安倍内閣が進める「日本再興戦略」の政策の柱の1つとして、「産業の新陳代謝とベンチャーの加速」が掲げられ、ベンチャー支援の更なる強化が図られており、民間でも大企業がベンチャー育成や連携に取り組む動きが活発化している。その流れに乗り、とくにITやテクノロジーなどの先進分野で、第2のGMO、GREE、DeNA、楽天を目指す「スタートアップ企業」が日本国内からぞくぞくと生まれている。そのなかから今回は、クラウド型の動画制作プラットフォーム事業を展開しているViibar(ビーバー)代表取締役の上坂優太氏に話を聞いた。

映像制作業界に残る
不透明な受発注形態

Viibarの上坂優太代表取締役。映像業界出身で、当時の経験からViibarの事業モデルを発案する Photo:DIAMOND IT Business

 皆さんは、日に何時間くらい動画コンテンツを観るだろうか? 私はスマートフォンを持つようになってから、動画コンテンツを観る機会が驚くほど増えた。移動中も含めると恐らく1日に1時間以上の日も珍しくない。テレビよりは確実に多くなっている。

 少し古い資料だが、2年前にシスコシステムズが調査した結果によると、2013年時点で年間のインターネットトラフィックの中で、57%を占めていたWeb動画は、2018年には75%に達すると予測している。また、サイバーエージェントが実施した国内動画広告の市場調査によると、動画広告市場は、昨年300億円規模に到達し、2017年には880億円にまで到達する勢いをみせている。

 Viibar代表の上坂氏は、映画監督に憧れて映像業界に就職、制作の現場でディレクターを経験した後、楽天に移りマーケターに転身した。映像制作の現場と発注する側の両側面から映像業界を見てきたこともあり、この業界は非効率的で理不尽だと感じることが多々あったという。

 動画制作や広告原稿を発注したことのある人なら分かると思うが、クライアント(発注側)と、メディア(制作側)の間には、代理店やプロダクションが必ず入っており、多重下請け構造となっている場合がほとんどだ。そのため、情報の伝達は遅く、料金設定に関してはブラックボックスになっている。そこに問題意識を感じたと言う。