境界は存在しない!
フラットな組織の「挙手」と「ジャンケン」

篠田:簡単に言えば、仕事の「兼務」はあっても、組織的には、ほぼ日で「兼業」はちょっと考えられないことなんですよね。ほぼ日のメンバーはあくまで会社員ですし、何より、兼業しなくても、ほぼ日というお皿がかなり広く、いろんなものを乗せられる環境にあるので、「そのアイデアはほぼ日のコンテンツでやろうよ」など、どんどん取り込みながら、ほぼ日自体が成長できてきているんだと思います。

:ほぼ日という場の包容力が大きいということですよね。新しいアイデアが生まれたときに、チーム作り、つまり人選のしかたや手順はどうされているのでしょう。

篠田:チームの作り方は、特にないんです。「入りたい」と思う動機を持った人が自然発生的にチームに入る。この人と仕事をしたい、あるいは動機が重なっている相手とチームを組む傾向はあるので、わりと自然発生的ですね。

ほぼ日を運営する東京糸井重里事務所

奥野:動機があったとしても、1人で何もかもを決済したりはしないでしょうね。まず誰かに相談に行きます。

篠田:「プロジェクトは1人でやらない」と明文化されているわけではないけれど、YESかNOかでいえば、1人でというのはNOですね。プロジェクトはアイデアを交換しながらやっていきます。誰かが「何月何日から、こういうマーケットに向けてこういうプロジェクトをスタートします」と、一人ですべて決めてから召集するようなことはまずありません。

:フラットな組織ならではの自然発生的なチームなんですね。僕らの場合も、組織としてフラットさが色々なところに表れています。例えば、オーナーさんから物件情報が入った時に、誰が担当するのがいいかをまず会議でみんなで検討しますが、決めきれなかったら「ジャンケン」で決めます。条件のいい(利益率のいい)物件であろうとなかろうと、一瞬のジャンケンで全員の前で決まる。最近では、ジャンケンに参加するためにはおもしろい物件を一定のペースで出していることが条件になっていて、ベテランがその資格を失うこともあったりします。