アジアの巨星リー・クアンユー氏は
「リーゼントマネジャー」の生みの親だった!?

 各所の卒業式も終わり、4月から多くの新入社員が誕生する。それに伴い「新人上司」も誕生することだろう。そこで、ふと思う。日本の「上司」と呼ばれる人間の何パーセントが「良い上司」「良いリーダー」であるのだろうか。

 シンガポールで「良いリーダー」という話となると、真っ先に出てくるのがシンガポール初代首相を務めたリー・クアンユー氏だ。

 ご存じの方も多いと思うが、先日3月23日に「シンガポール建国の父」とも呼ばれるリー・クアンユー氏が亡くなった。ご冥福を心からお祈りしたい。

リー・クアンユー元首相との最後の別れのため、国会議事堂前に列をなす一般弔問客。列は最大12時間待ちとなったが、著者は熱い心を胸に弔問した

 著者は幸いにも、2009年に彼の講演を直に聞いたことがある。驚いたのは、当時86歳だったにもかかわらず、とにかくパワフルでユーモアに溢れ、かつ数字や事実に詳しく頭脳明晰であったことだ。

 資源の少ない小国であるシンガポールが、いかに発展してきたか。これからも世界の新しいチャンスを逃さずに、グローバリゼーションの時代に適応していく必要性を、眼光鋭く、用意した資料など一切見ないで、流暢に語っていたのが今も強烈な印象として残っている。

 テーマが日本の少子高齢化社会や日本経済の活性化に及ぶと、彼はこのように提言した。

(1)「開国」して移民を受け入れること

(2)「世代交代」して40~50歳代に重要な活躍の場を譲ること

 日本に向けて、今すぐこの2つを「決断すべし」と警鐘を鳴らしたのだ。

 当時36歳であった著者に最も影響を与えたのは、次の部分だ。

「シンガポールでは、実務は40~50歳代に任せている。活力と情熱があり、若い世代への共感に富んでいるからだ。日本社会でも、40~50歳代のさらなる活躍を期待している