この連載の第11回(2008年02月04日)で、「Gmailを簡易オンライン格納に使える」と述べた。そこで述べたのは「自分宛にメールを出す」という方法だが、もっと簡単な方法があることに気づいたので、今回はそれを紹介しよう。
それは、Gmailの「下書き」機能を利用することである。具体的には、つぎのようにする。
まず、「メールを作成」を選ぶ。保存したいテキストデータ(たとえば、書きかけの原稿)をメール本文の部分に貼り付ける(最初からその画面で作業してもよい)。つぎに、画面の下にある「すぐに保存」を押す。これだけで、データはオンライン格納される。「宛先」も「件名」も入力しなくてよいので、実に簡単なことだ。
格納したデータを引き出すときは、「下書き」をクリックする。すると、保存した下書きが時間順に一覧表示される。
保存したデータに修正を加えたい場合、簡単な修正なら、下書きの画面に現れているデータに修正を加え、「すぐに保存」を押すだけでよい。
保存したいデータが長めのものである場合や、テキスト・ファイルでない場合(たとえばエクセル・ファイル)には、それを添付ファイルとすればよい。つまり、どんな内容、形式のものであっても、通常のメール送信の場合の「送信」をクリックする代わりに「すぐに保存」をクリックすれば、自分自身にメールを送ったのと同じことになるのだ。
メールを自分宛に送ることと比べたメリットは、宛先や件名の入力を省略できることだけではない。大きな利点は、下書きはスレッドにならず、完全に時間順に並ぶことだ。現在のGmailの最大の欠点は、スレッドが時間順を乱すことなのである。
Gmailを作業の
プラットフォームとして使う
Gmailでは、オンライン格納がこのように非常に簡単な手続きでできる。これは、パソコン(PC)でワープロやテキスト・エディタを起動して作業し、データをPCのハードディスクに保存するのとほとんど変わらない手続きだ。
Gmailのメール作成画面では「太字」「斜体」「下線」などの簡単なワープロ機能が付いているので、ワープロソフトをわざわざ起動する必要もない。また、英文のスペルチェック機能も付いている。この機能を使って文書を作成すれば、この連載の第45回で説明した「シンクライアント」になれるわけだ。
ただし、Gmailはメール用に設計されているので、作業用には若干不便だ。下書きの画面を作業用に便利な仕組みにしてくれれば(たとえば、全画面表示などで大きな画面にできるなど)、PCのワープロに頼る必要がなくなる。まさに、クラウド・コンピューティングである(Gmailは、グーグルのクラウド戦略の中で重要な地位を占めているのだ)。
そうなれば、アドレスを共有することによって、本の共同執筆などの共同作業のプラットフォームとして使うこともできるだろう。他にも、さまざまな利用法が考えられる。