西松建設の巨額献金事件に絡む公設秘書の逮捕を受けた民主党の小沢一郎代表の進退について、複数のメディアは先週末、民主党内では政治資金規正法違反以外の新事実が無ければ続投するとの見方が広がっていると伝えた。民主党の中で、小沢氏以外の代議士の中から、彼が続投してもいいという意見が広がっているという。秘書の拘留期限が切れる3月24日に小沢氏がどのような判断を下すかが注目されたが、秘書の政治資金規正法違反での起訴を受けて、小沢氏は民主党代表職について自分自身の「続投」を発表した。
筆者は、続投は不適切であり、小沢氏は早急に民主党代表を辞任すべきだと考えている。
端的に言って、西松建設の件が、このままこのニュースへの注目が低下して、秘書の行為の善悪のみが形式的に問われる問題になるとはとても思えない。公判の過程で、何が出てくるかはわからないし、東北方面のゼネコンを巡る政治資金の問題が、西松建設だけで終わるかも定かではない。小沢氏は、これらの自分の問題に、民主党を巻き込むつもりなのだろうか。
民主党の代表ともなれば、次の総選挙で勝った場合には、首相になる可能性が高い。その状態で、これだけの弱点を抱えていて果たして良いのか。首相になったものの、お金の問題が弱点で結局思うようにいかなかったケースは、小沢氏のもともとの“大師匠”である故・田中角栄氏のケースで十分実験済みだ。個人的な弱点を抱えた人物が首相になることは、日本の国益にも反する。
加えて、小沢氏の過去の主張との整合性の問題がある。読売新聞が3月23日朝刊の3面に掲載した政治資金規正法違反事件の経緯によれば、小沢氏は3月17日に、党役員会で翌週(つまり今週)にも進退を判断するとの意向を表明。その際に、検察の判断が出た時に今後のことを判断したいと断ったうえで、「政治団体も含め、すべての企業・団体献金を禁止するのが一番すっきりする」と発言している。企業・団体からの献金があること自体が望ましくないと、彼自身が考えているのである。