どれだけ進んだかも大事だが、どこを向いて走るのかはもっと大事である。その方向性が明示されていないから戸惑いが消えないのだ。

 菅氏は「知恵を、アタマを使っていないんです。霞が関なんて、成績がよかっただけで大バカだ」と官僚に八つ当たりしたらしい。

 “知恵”は政治家が出せばいい。官僚の“知識”を総動員して、新しい方向を打ち出すのが政治主導ではないか。

 代表質問で、谷垣禎一自民党総裁の「経済ビジョンがない」という批判に対して、鳩山由紀夫首相は、「あなた方に言われたくない」と突っぱねた。

 もちろん自民党政権もそういわれても仕方がない。

 だが、議場内ではそれでもよいが、代表質問の答弁の相手は自民党というより一般国民である。しかも、多くの国民は新政権に同じような不安を持っているのだから、もっと懇切に答えるべきだろう。

 中・長期のビジョンを示さないで、2020年までに温室効果ガスを90年比25%削減するといえば、誰でも不安になる。気前のよい財政支出にも心から賛同することはできない。

 ここで、マニフェストをパッケージして、専門家を結集し、「経済五ヵ年計画」の策定を始めれば、政権に対する国民やマーケットの理解や信頼は深まるはずだ。そんなバイブル(経済計画)を片手に通常国会に臨めば、国会論戦の強力な武器になる。なぜそうしないのか。

 「この半年は足元の景気を見る」というが、そういう政府の姿勢も景気動向にかなりのマイナスの影響を与えるのだ。

 景気は逆に政府の足元を見て動くのである。

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