ベンチャーなのに“お役所”になってた!?
会社の価値観「挑戦」に驚きの声

 私には自分なりの判断基準はもちろんありましたが、それを説明していないので社員からは「社長は、昨日はいいと言ったのに、今日はダメと言っている。言ってることがコロコロ変わる」とよく言われ、社員を混乱させていました。

 早速私たちは、人事コンサルタントの指導のもと、私たちが何を大切な価値としているのか?を話し合いました。

 二人で考え抜いて出した答えは「挑戦」でした。

 私も日高も挑戦が大好き。だからこそ、二人で会社を立ち上げたんです。でもこの頃は、社内が暗いムードでしたから、私や日高が何か新しいことをしようとすると、社員から「またあの二人が何か始めたよ」という冷ややかな雰囲気が辛く、あきらめたこともたくさんありました。

 運動会もそのひとつ。私は社内の暗いムードをなんとか改善したくて、社員が一体になれるイベントを考え、みんなに「運動会をしよう!」と提案したのですが、「運動会なんて絶対やだ!」「私は出席しない!」「目的がわからない」など、水面下での社員の反応が最悪で、実行しませんでした。この頃は、運動会ひとつ実施できない雰囲気だったのです。

 このようにいつのまにか私たちは、この暗い雰囲気におされ、新しいことをどんどん生み出したい!という気持ちを忘れていたのです。

 こうして私と日高は、意を決して、会社の価値観を「挑戦」にすると全社員の前で発表しました。

「私たちは小さなベンチャー企業です。だからこそ、お客様に選ばれ続ける企業であるためには変化しなくてはなりません。変化するには新しいことに挑戦するという行動力が絶対に必要なんです」

 社員はポカンとしていました。それはそうです。うちの会社は創業からずっと業績は右肩上がりの超安定企業でしたから、そのころには、もういわゆる“お役所”のような働き方になっていたのです。

 安定を好み、変化を嫌う風土だったので、社員の反応はすさまじいものでした。

 「うちの会社ってベンチャーだったの?」
 「挑戦?挑戦って何?新しいことをしなくちゃいけないの?」

 という感じで社内がまたざわつきました。しかも、私も日高も自分たちが挑戦が好きだなんて今まで一度も社員に話したことがなかったのですから、社員も本当に驚いたんだと思います。

 でも、私も日高も今回ばかりは本気でした。しつこく朝礼や、研修で毎回、挑戦を話したり、社員全員に挑戦目標を作ってもらったりと、社員に「挑戦」を浸透させようと必死でした。