結局、日本企業自身が理想的な経営を自分たちで確立するのが一番重要なこと。そもそも株主利益の最大化というのは欧米流の発想であり、企業経営においてそれが全てではないことも事実なのです。一歩株価から離れて見れば、従業員の雇用や福利厚生を第一に考えてきた旧来の日本型経営には、評価すべきところも多かった。株主利益の最大化に取り組みながら、一方で日本企業の良さも生かした付加価値経営を自ら考えて行かないと、いけないと思います。

「静かな2万円回復」が起きた意味
株価は2万5000円も視野に入った?

――わかりました。日経平均2万円越えのなか、世間の投資熱はどれくらい盛り上がっているのでしょうか。

 実は、それほど過熱している印象はありません。アベノミクス第一幕は外国人しか買わない相場でしたが、このとき売買ボリュームは相当増えました。それに対して、今は全体的にシュリンクしており、売買代金は2兆円程度に留まります。その意味では、過去最高の企業利益に支えられた自然な株価上昇による「静かな2万円回復」です。

 足もとを見れば、ファンダメンタルズに対して株価がほぼ適正な位置にあると考えています。日経平均株価がやっとITバブル時の水準を回復する一方、TOPIXに至ってはまだリーマンショック前にも達していない。これは到底バブルとは言えない、極めて穏当な相場でしょう。

――毎年5月に入ると株式が売り込まれる「セルインメイ」の局面に入ります。投資家にとっても気になるところですが、今後の株式相場をどう見ていますか。

 今回の相場回復は過去最高益を更新した企業業績がベースにありますが、足もとで決算発表が始まり、GW明けにはそれが一巡します。その段階で、今期はどのくらい利益が積み上がりそうかという投資家の「見極め」が行われ、一旦材料は出尽くすはず。そのため、軽い調整としての「セルインメイ」もあり得るでしょう。加えて、夏頃からギリシャ問題の先行きや米国の利上げの方向性も見えてきます。そのへんで相場はピークアウトし、再び上がり始めるのは秋にかけてでしょう。

――いずれにせよ、日経平均の2万円越えは投資家心理を明るくしたことでしょう。今後は、「2万5000円はいつか」という話題も出そうです。中期的に見て、もう一段株価水準は切り上がりそうですか。

 今回の相場回復は企業業績の回復と連動しているので、今後業績が切り上がれば、株価も切り上がって行く可能性は高い。市場のアナリスト予想の平均であるクイックコンセンサスに基づく日経平均のEPS(1株当たり利益)は、2016年3月期の予想で1350円程度。PER17倍で評価すると約2万3000円です。相場がちょっと強含めば、PERが18倍台に達することも十分あり得ます。その場合には、2万5000円も視野に入ってくるでしょう。