日本にも世界に誇れる
「起業家の時代」があった

岡田 100円ショップで有名な「ダイソー」ってあるじゃないですか。シンガポールだと2ドル(約180円)ですけど、とても人気があります。このように、シンガポール人は日本が大好きなはずなのに、「シンガポールの学生人気企業100社ランキング」に日本企業は入っていません。昔はここにトヨタ、キヤノンなどが入っていましたが、今はゼロ。ほんとうに残念で、心配です。

秋山 100社あれば、最低でも5、6社は入ってほしいですね。

岡田 話はちょっとそれますけど、この前ヘアードライヤーが壊れちゃって、買いに行ったんですね。ここ数年は、日本でも人気があるパナソニックの「ナノケア」を使っているんですけど、やっぱり日本製は品質が抜群です。もはや僕のリーゼントはナノケアでなければキマらない(笑)。でも、シンガポールでは、日本製以外のヘアードライヤーが店員に勧められるんです。品質は良いのに、顧客となるべき人を店頭でかなり逃していると思います。

秋山 品質はいいのに売れない? それは興味深い話ですね。

岡田 そこで「リーゼント式解釈」で考えてみました。主な原因は店頭の販促教育にあるとは思いますが、隠れた理由として日本企業へのマイナスイメージがあると思います。日本家電はすばらしいと思われている反面、外国人が必要としない機能も付いてる。海外進出している企業が毎朝の朝礼をやめないのと同じで、無意識に日本のやり方を押し付けている。そんな風潮が日本の企業体質にも出てしまっているんです。先ほどの朝礼の話もそうですけど、「日本企業に入っても日本人だけが出世する」とか、「サービス残業させられる」といったマイナス意見も多い。少なくともそういう日本企業のよくないイメージが、シンガポール人に伝わってしまっていると思います。製品イメージと企業イメージは連動します。企業イメージが醸成できてないことで、最高品質の日本製品がチャンピオンになりきれてないことに影響していると思います。

秋山 製品やサービスの良さと働きたい環境は両立しないと……。ところで、日本の会社についてどう思います? 転職したいと思えるような会社はありますか。

岡田 先ほど日本企業のマイナスイメージをお話しましたが、やはり日本と日本製品への評価は高いんですよね。例えば、インドネシアに行くと、「バイクで来たよ」「クルマで来たよ」というより、僕は「SUZUKI」で来たよ、「HONDA」で来たよという感じです。日本企業への憧れも強いんですね。先人たちの功績には頭が下がりますが、働くとなるとベンチャー企業なんていいですね。海外での事業を志を同じとする仲間たちと一から立ち上げるなんてワクワクします。できれば、日本だけを相手としたビジネスではなく、世界を相手にインパクトを出してみたいですね。敢えて挙げるならNHKの朝ドラ「マッサン」の主人公が理想かもしれません。世界一のウィスキーめざし実現する。そこに登場するサントリーの社長って、肝っ玉がすごくあるじゃないですか。

秋山 日本にも世界に誇れる「起業家の時代」がありました。これから再び復活してくるかもしれません。

岡田 いま、「和僑会」という世界で活躍する日本人経営者の会の運営をシンガポールで手伝っています。そこに集うメンバーと一緒に飲みに行くのがとても楽しい。いつか、僕も肩を並べて彼らと日本とアジアのために本気で仕事をしてみたいですね。

秋山 今日はどうもありがとうございました。