しかし、訓練を終了したシングルマザーたちの在宅就業の収入は、月あたり平均月5000円以下が59.4%。実施した厚労省自身も、

「平成21年度から実施した本事業については、その趣旨は有意義であったが、一部の事業者を除いて費用対効果が低い結果となり、このままの形での継続は妥当でない」

 と認めている(「ひとり親家庭等の在宅就業支援事業評価検討会報告書」)。

 それでも、検証が行われただけ「マシ」なのだ。

「在宅就業支援については検証が行われたのですが、ほかの就労支援施策については、検証も行われていません」(赤石さん)

 なぜ、多額の資金を投入した事業が、シングルマザーの就労収入アップにつながらないのか?

「そもそも、戦後一貫して、日本のシングルマザーは8割以上が働いています。各国と比較しても、就労率はトップクラスで高いんです。それでも貧困率が高いのは、就労による収入が低いからです。女性の賃金が低い、特に子育て中の女性の賃金が低いという労働市場の構造的な問題です。『言い訳』『ポーズ』的な就労支援で収入が上がるわけはありません」(赤石さん)

DV被害者、中卒のシングルマザー…
彼女たちに効果的な支援とは?

 では、どういう支援があれば良いのだろうか?

「DV被害を受けて夫と別れたあと、就職活動したものの、なかなか成功せず、精神疾患をお持ちで生活保護を利用しているシングルマザーの方がいます」(赤石さん)

 その方は、ずっと家の中にいることが多いという。

「本人も、就労を望んでいます。家の中にいて何もできないでいる状態だと、よけいに『自分はダメだ』と思ってしまいます。でも、たとえばDV被害を受けて、子どもと逃げてきて、生活保護で生活して治療も受ける生活を数年続けてきた人の場合、最初の課題はフルタイムの就労ではなく、少しずつ活動したり短時間の仕事に就いたりすることだと思います」(赤石さん)

 2015年4月から、各自治体で施行が開始された「生活困窮者自立支援制度」はどうなのだろうか?