ものを大切にすることは
無から有を生み出している

 ものを丁寧に使うことは試算表や決算書にも現れてきます。

 ものを丁寧に使うと、資産勘定に載らない機械をたくさん持つことになります。資産勘定に載らない機械は減価償却費という費用がかかりませんし、償却資産税もかかりませんので無料で使えるのです。

 成功している農家の人たちは機械や道具を丁寧に長く使うことで固定費を下げ、長期的に利益を出しやすい体質にしています。それによってさまざまなリスクに耐えられるようにしているのです。

 まさに、ものを丁寧に長く使用するというのは、無から有を生み出すことになるのです。

 これから独立する人にとっても、古い機械を丁寧に使っていくことはとても大切なことです。農業で独立するのであれば、できるだけ中古で機械を揃えることが鉄則です。

 今では新規就農者でも就農のための支援が手厚くなり、無保証など、簡単に低利で長期の借り入れができるようになってきました。農業で起業するにはとても恵まれた環境になっていますが、逆に考えると、何も考えず安易に新しい機械を購入する人も増えているように思います。

 私たちは新規就農する人に最初から新しい機械を購入することを勧めません。たとえ借金することができたとしても、中古で入手できるものはすべて中古で揃えるようにしています。そうして、スタート時のイニシャルコストをかけずに固定費を下げ、身軽にスタートさせるのです。

 これは成功するための大きな秘訣です。