私の農場は、現在、新規就農者だけで運営しています。私自身は現場で指示ができないので、よくも悪くもそのときの担当者の性格や能力がすべてに出てきます。

 業績がよいときには、必ずといっていいほど農場がきれいな状態にあります。機械のメンテナンスや整理がしっかりできているのです。

 そのようなときは売上が多いだけでなく、修繕費や農具費が少なく人件費も少ないなど、経費がかからないのです。

 しかし、業績が悪いときには人の出入りが激しくなり、新しい担当者はそこまで気が回りません。目の前のことを行うのに精一杯の状態になってしまい、畑には収穫用のコンテナが置き去りにされていたり、草取りもできていなかったりします。

 そうすると、整備不足によるハプニングが次々に起こり、何度も無駄足を運ぶなど作業も遅くなります。トラブルへの対処に忙殺されてしまい、動いている割に収穫量が上がらないのです。

 さまざまな企業で5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動を取り入れています。農業者の中にも5S活動に取り組むところが多くなり、私たちも6年前に山梨県の農業生産法人サラダボウルさんからヒントをいただき、5S活動を取り入れてきました。

 コンサルタントから5S活動の講義を受けたとき、5S活動の原点は農業にあるという話を聞きました。

 篤農家と言われる人たちが道具を丁寧に扱い、使った道具は洗って決められたところに整理し、いつでも使えるように整頓する、さらには作業場に土がつかないように常に清掃していることを、工業に携わる人たちが参考にして体系化したのが5S活動だそうです。