いい上司はストレスを
うまく軽減させる方法を知っている

 もちろん「いい上司」とは、「部下の機嫌を損ねない上司」のことではありません。部下にとって、上司から苦言を呈されることは嫌なことかもしれませんが、一度も助言やアドバイス、ネガティブな意見を上司からもらうことなく、成長していった人はいないでしょう。

 また、「いい上司」とは、「注意をしない上司」のことを指すのではありません。

 上司も「人」ですから、部下の行動を見て、時には、我慢できず、今すぐに注意をしたいという衝動に駆られることがあります。そんな時は、「怒る」のではなく、「ネガティブ・フィードバックをおこなう」という姿勢で、部下に接してみてください。カッと怒りたい気持ちをグッと抑えて、深呼吸をし、どうしたら部下に効果的に伝えることができるかを考えてみるのです。

「気持ちが高ぶる時には、何よりも深呼吸が大切だ」と言う上司がいました。彼は、机の引き出しの中に、カラフルなストレスボールを5個用意しており、まず、ストレスボールを机の上に置くことから一日が始まります。そして、終業時間になると、いくつ机の上にストレスボールが置いてあるかで、その日の上司の緊張やストレスの度合いを測ることができるほどでした。

 ストレスボールは、指を動かすことで脳を活性化したり、ストレスを軽減したりするものと言われます。彼は、感情が高まるとすぐにストレスボールを握ることで、感情を抑えていたのです。それが、深呼吸へとつながり、自分の感情をマネジメントする方法でした。

 自分の気持ちや感情を自分でマネジメントすること、つまり、「感情マネジメント」は、一流の人たちの習慣です。イライラして相手にあたるということはしません。なぜなら、それは恥ずかしいことであり、さらに、相手に対して何も良い影響がないことを知っているからです。

 時には、秘書の私に、冗談まじりに、「今日は、いくつのストレスボールが必要?」と聞き、「3つです」と答えると、3つのストレスボールを机の上に置いていくこともありました。それは、私が上司から大きなプロジェクトを任された時でしたが、こうやって、ユーモアのある気づかいに、心がなごんだものです。