「組織の多様化を進めると、
組織がバラバラになるのでは?」

 社員の価値観を多様化する前提として、会社として全社員で守るべきアイデンティティ(会社によって、「ビジョン」とか「バリュー(価値観)」とか「カルチャー」などと呼ばれます)を定義しておく事が不可欠です。

 これも日本企業で実際にあったケースですが、海外現地法人の責任者として現地の外国人を採用したのは良かったものの、会社として共通のアイデンティティや働き方などを明確に定義しておらず(正確には、定義はしていたのに、それを外国の社員に対してはほとんど展開・浸透させていなかった)、実際の現地のオペレーションはほぼ「任せて」いたために、数年後には、その国のオペレーションが本社からは「ブラックボックス化」しただけでなく、現地責任者の「絶対王国」のような、本社とは全く違うカルチャーの会社になってしまいました。

 多様な価値観の社員に、同じ方向に向かってもらうには、会社として何が「同じ」であるべきかを明確に定義していなくてはなりません。この「会社としてのアイデンティティ」的なものは、外国人が読んでも理解できるようなシンプルな内容でなくてはなりませんし、日本企業としての明確な差別化がなくてはなりません。

 多くの日本企業では、「ビジョン」とか「バリュー」と呼ばれる社内文書が存在していても、やたら冗長で日本的すぎて外国人には「響かない」内容だったり、あまりに一般的な内容だったりして「日本的」な差別化がない、ということも多いです。日本企業は「日本企業であること」から逃れることができませんし、幸い「日本」は世界で非常に尊敬されている強いブランドでもあるので、「トヨタウェイ」のように、自社のアイデンティティを、外国人の心にも響き、日本企業であるという特徴が明確に出るように定義するべきではないでしょうか。

グローバル化はダイバーシティから始めよう

 繰り返しますが、グローバル化をめざすなら、「組織のダイバーシティ」が「女性活用」だけでなく、世界市場を見据えた「社員の価値観」の多様化であることを肝に銘じ実現しなければなりません。

 その際、重要となるのは次の3つです。

〈1〉「和魂洋才」を持つ「和僑」的な人材を中心に進める。
〈2〉会社の「上」から進める。
〈3〉会社として全社員で共通の「アイデンティティ」を明確に定義した上で進める。

 日本企業のダイバーシティ(多様化)には枝葉末節の議論が多いのですが、この3つが「絶対」に外せない重要なポイントだと思います。

 GAISHIKEI LEADERSによる連載「外資系リーダーが日本を変える」はこのここでいったん終了しますが、これまで登場した若きリーダーたちの多くは、日本人の魂と国際経験を併せ持つ「和僑」です。今後、日本企業が、組織の「正しい」ダイバーシティを進め、世界市場で競争優位を高めていくことを願ってやみません。