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ダイバーシティとは、多様な視点を活かす事だと、前回書いた。多様な視点が活かされる組織づくりをしていくことが経営者の仕事であり、それができる企業が、社会からも認められ、愛され、成長する。簡単に言えば、様々な背景、出身、年齢、性別、人種等から多様な人が採用され、それらの人たちが自分の考えを提案したり議論できる場が与えられ、平等な研修機会がある会社にする事だ。
どのような背景を持つ人たちにも正当な人事評価がされ、社内でのキャリアの道も開かれ、平等に裁量や出世機会が与えられる。さらに企業の発信時にも多様な視点が活かされれば、その企業はもっと強くなる。これらがダイバーシティ組織を目指す経営者や人事部の役割である。
「昼に帰りたい」「毎日残業したい」
わがままを許すのがダイバーシティじゃない
では、一方で働き手にとって、ダイバーシティ組織とは一体どんなところなのだろうか。
「多様性とは、多様なものを受け入れることでしょう?」ということで、「私は昼に帰りたい」「私は音楽を聴きながら仕事をしたい」「私は11時に出社したい」などと皆がバラバラな要求をして来たらどうだろう。
「私は議事録にまとめなくても、説明したんだからいいじゃないですか」「データベースにいちいち入力するのは、苦手です。紙のファイルでいいですよね」「私はみんなが帰った後に仕事をする方が集中できるので、毎日残業がしたいです」。そんなふうに、業務に於いても各自が自分のやり方を主張したらどうだろう。
「みんなの考えに反対して、(まわりと)一緒に進まないというのも、多様性ですよね」「だって、多様性というのは、それぞれの違いを受け入れる事だろう?」などと言い始めたら、収拾がつかない。
多くの人が勘違いしているが、ダイバーシティは、自分勝手とは違う。わがままを言うこととも違う。