今の時代、
“中抜き”が当たり前

 キュレーション・サイトの「キュレーション」とは、もともと、人の手により情報を集めたり整理したりして、それによって新たな価値や意味を提供することをいい、それを行う人は「キュレーター」と呼ばれます。

 キュレーターも、人材紹介会社、そして人事部も、介在するという意味で、「問屋」のようなものです。

 問屋は、量販店のような流通業とメーカーの間に入って機能してきた存在ですが、随分と昔から「問屋中抜き論」が唱えられています。

 もともと問屋は物流機能、在庫機能、決裁機能、資金機能、情報機能、提案機能等を担ってきたのですが、メーカーや量販店が力をつけることにより、問屋の機能を必要としなくなってきたわけです。

 ましてや、eコマースが一般化し、自ら物流まで手掛けるようになると、さらにいくつかの機能が不要となるでしょう。もともと持っていた「介在価値」が失われることによって、その存在意義自体が失われる可能性すらあるのです。

 また人材紹介会社の例を出せば、あまりにレベルの低い担当者に時折会います。そんな担当者が間に入ると、キャンディデイトにきちんと情報が伝わらないのではと感じ、すべて直接、話をさせてもらいたくなります。

 これなど、「介在価値」のかけらも発揮できていないケースですが、笑い話ではなく哀しいことに、このような担当者は現実に存在しています。

 介在価値が発揮できていないと、問屋に起こったような「中抜き論」が現実のものとなる可能性があります。きちんと襟を正す必要があるでしょう。

新卒採用は、特に
人事の介在しどころ

 なお、新卒採用は、もっとも人事部がこうした「介在価値」を発揮しやすい機会かもしれません。

というのも、多くの企業が取っている、総合職採用で採用した人を適材適所で配属するという手法だと、1つひとつの部署のニーズというよりも、会社全体の方向性を整理した上で、採用人材像を決め、それに適した採用手法を決めていくことになります。これは1つの現場でできることではありません。

また、新卒採用は採用後の新人教育と一体化できる業務なので、採って育てて送りこむという一連の流れの中で、「介在価値」を発揮することができます。

 人事部は自らの価値を高めたいのであれば、もっともっと新卒採用と新人教育に注力するべきなのですが、このあたりが若手人事部員に任せきりになっている傾向もいまだに見受けられます。