【独自】アサヒが非公表にした「ビール販売数量」データを入手!2強の激闘が明らかに、キリンが秋に打つ王座奪取への“秘策”とは?Photo:Bloomberg/gettyImages

2020年にアサヒビールが販売数量の開示をやめて以降、ビールのメーカーシェアは推定値となっていた。今回、ダイヤモンド編集部はアサヒの販売数量データを入手。大手4社のビールの販売数量が明らかになった。特集『アサヒ 王者の撤退戦 ビールメーカーの分水嶺』の#3では、各社の24年の“実力値”とキリンビールが今秋に投入する“秘策”を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

各社の販売数量が判明!
コロナ禍前から18%減は?

 2045年には事業利益が3分の1になるーー。

 アサヒグループホールディングス(HD)は、酒類事業に依存する自社の将来をそう見している。目下、同社は大胆な構造改革に取り組んでおり、本特集#1『【独自】アサヒグループHDが社員約400人をアクセンチュア子会社に強制転籍へ!「リストラではない」社長の言い分を入手』で詳報したような管理・間接業務部門の切り離しのほか、グループ全体の収益性を高めるべく、さまざまな体質改善策が水面下で進んでいる。

 もっとも、人口減少と若年層のアルコール離れにより、国内ビール市場の縮小が避けられないことは、ここ25年間、ビールメーカーが常に向き合ってきた課題だ。そこで各社は2000年代から海外市場の開拓や、ビールなどの酒類事業以外の収益の柱を立てようと、多角化を進めてきた。

 しかし、そう簡単に事業ポートフォリオの改革は進められず、依然として各社は利益の大部分を酒類事業に依存している。そこに原材料費や物流費が高騰したことで、生産能力の調整や人件費の見直しに迫られる事態になった。各社はいわば、ビール市場の縮小にいかに対応していくかという、リストラを伴う“撤退戦”に直面せざるを得なくなっているのだ。

 では、肝心の大手4社のビール販売数量は、足元でどのように推移しているのか。

 実は直近の“実力値”は可視化されていない。なぜなら、アサヒが「数量重視からバリュー経営への変換」を掲げ、20年1月から販売数量を公表しなくなったからだ。

 今回、ダイヤモンド編集部はアサヒが非開示としている販売数量データを入手した。次ページでは、大手4社のビールの販売数量をコロナ禍前の19年と比較した。

 また、販売数量の開示と併せて、キリンHD関係者への取材で販売した、同社の“秘策”も明らかにする。