5月に入り、内定をもらう学生の数が増えてきた。
例年であれば、ここで就職活動を終了する学生も少なくない。しかし、今年はこれまでと違い内定をもらってもなお、就職活動を続ける学生が多い。
内定したのに、就活を終われない。ここに今回のスケジュール変更の落とし穴がある。前回説明した「就職活動の後ろ倒し」第一期生が陥っている問題について、引き続きキャリアデザインスクール・我究館館長の熊谷智宏氏にお話を伺った。
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我究館館長。横浜国立大学を卒業後、(株)リクルートに入社。2009年、(株)ジャパンビジネスラボに参画。現在までに2500人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職や転職、キャリアチェンジのサポートをしてきた。難関企業への就・転職の成功だけなく、MBA留学、医学部編入、起業、資格取得のサポートなど、幅広い領域の支援で圧倒的な実績を出している。また、国内外の大学での講演や、執筆活動も積極的に行っている。著書に『絶対内定』シリーズがある。
(撮影/宇佐見利明)
就職活動を「終われない」学生が急増中
内定しても、就活は続いている。
なぜ、そのような事態になるのか。時系列で見て行くと次のようになる。
まず、3年生の6月頃から募集が開始されるインターンシップに参加する就活初期、多くの学生はこの時点で明確な志望企業はないことが多い。そこで有名企業を中心に「幅広くいろんな企業のインターンシップに参加した」(私立大学文系4年生)といった声がよく聞かれた。
今年のインターンシップは、実施企業が激増した。そのため倍率が下がり、比較的簡単に選考を通過した学生も多かったのではないか。実際に、私の指導する我究館の学生を見ていても、希望通りの企業に参加できる学生がほとんどだった。
参加した学生の感想を聞くと「業界のことが知れた」「会社の雰囲気が知れた」「楽しかった」という感想が多く、内容の充実と学生の満足度の高さが伺えた。
一方で「では、志望企業や業界は絞れたか?」と聞くと「どれも良かったので、かえって分からなくなってしまった」という感想が返ってくる。ある程度「知る」ことはできたが、それゆえ「決める」ことができていない印象だ。