第3は、5月末の記者会見で、ダビング10延期の直接の引き金を引く結果を招いたJEITAだ。団体としても、個別の企業としても委員を送り込んでいるデジ検の報告書で、「適正な対価」について同意しておきながら、文化庁が拡大を試みた部分に限定せず、ダビング10も含めて反対という強硬姿勢を打ち出して混乱に拍車をかけた。

 表向き「消費者の立場を代弁しているだけだ」と、その論陣を張ったのはJEITA会長の庄山悦彦日立製作所会長だ。ただ、この発言について、日立広報部は「当社としての意見ではなく、JEITAの意見を会長として(立場上)発言したに過ぎない」と、ダビング10延期の庄山会長主犯説をきっぱり否定している。

 むしろ、JEITAの強硬姿勢については、松下の広報部が「(デジ検は)利益の還元方法の核心に触れていなかった。5月初旬の文化庁の提案があったところから、JEITA内でダビング10問題と補償金制度問題は別の議論だと主張していた」としている点に注目すべきだろう。複数のソースも「松下さんが(将来の課題という位置付けだった)補償金制度の早期全廃に強く拘泥し、その結果、JEITAとしてデジ検段階で容認したことを覆し、ダビ10まで葬ることになった」と明かしている。

 第4が「(あそこが)松下の後ろ盾だったのではないか」(ある経済官庁の高官)と勘繰られている経済産業省だ。同省は「そういう発言をした人がいるかどうかはわからない」(商務情報政策局)としているが、この経済官庁の高官によると、「テンションが高く、他省との幹部会合で『アップルに課金なんて日本の恥だ』と大騒ぎしている幹部がいる」という。

 同局に真意を訊ねたところ、「国内問題の議論に、海外摩擦を持ち込むような意図はまったくないが、(録音とかHDDとなると)デジ検で想定していなかった問題が発生するリスクがあることは指摘せざるを得ないし、メーカーの利益がないがしろにされないように守るのも我々の使命だ」(商務情報政策局)と、文化庁の試みを受けて、経済産業省が従来の姿勢を一転させ関与せざるを得なくなった事情などを明らかにした。

著作権権利者側の
メーカーへの根深い不信感

 そして、第5が、著作権の権利者たちの団体だ。冒頭で触れたように、ここへきて、関係者のうちの2省庁、つまり、文化庁と経済産業省が真摯に協議して当面の打開策を打ち出し、メーカーや総務省が歓迎の姿勢を示しているのに対し、この権利者たちの団体は依然として強い不満を表明しており、ダビング10実施の大きな障害となっているからである。