決断の背景にはもう一つ、後継者の育成がある。若い女性の憧れの職業だった地位も今は昔。「昔は、若年層の顧客も母親世代のBCにメイクの技術を教わることに抵抗がなかった。だが、情報化で顧客の知識も増え、BC=古くさいというイメージとなってしまった」と資生堂関係者。

 現在、資生堂が擁する正社員BC8000人のうち、20代はわずか10%(13年4月時点)と高齢化が進む中、若年層の顧客の取り込みに向けたBCの“若返り”と、将来を担う優秀な人材の確保が欠かせないというわけだ。

とにかく稼ぎを増やす

 16年4月入社予定の新卒者約500人を正社員BCとして採用し、並行して、17年までに現在2000人いる契約社員BCの正社員化も進める方針だ。一方、従来の年功序列の給与体系を改め、高齢BCの定年退職に伴う人件費の差し引きで、今回の正社員化によるコスト増はないとする。

「中計目標は高いハードルとはいえないものの、BCの正社員化は『固定費は減らない』という市場へのメッセージ。裏を返せば、目標の達成には、とにかく売り上げを伸ばすしかなくなったということ」とみずほ証券の佐藤和佳子シニアアナリストは指摘する。

 実際、化粧品の限界利益(粗利益)率は7~8割。売り上げさえ伸ばせば、多少の人件費の負担は物の数ではない。

 攻撃は最大の防御となるのか、魚谷・資生堂の手腕が問われる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)