もはや社会現象となった、中国人観光客の「爆買い」。2月の春節時の盛り上がりも凄まじかったが、さらなる盛り上がりが期待できるのが夏休みだ。「爆買い」の恩恵に預かるには、中国人独特の買い物傾向を知っておくことが重要になる。
メディアより口コミを信じる中国人
「爆買い」を支えるスマホ
4月14日、都内某所で開催された爆買い対策セミナー。中国の検索大手「百度(バイドゥ)」などが主催し、小売店や飲食店、メーカー担当者など60人以上もの参加者が、熱心に聞き入っていた。急激に進んだ円安やビザ発行要件緩和などによって、東京や大阪などで「爆買い」は日常的に見られる光景となった。しかし、タダで恩恵にあずかれるのかというと、決してそうではない。中国人の購買傾向は、日本人のそれとはずいぶん、異なるのだ。
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今や中国人たちに“占拠”された観のある、夜の新宿。20時以降、マツモトキヨシやサンドラッグに押し寄せるのは、ツアー客たちだ。「彼らはほぼ全員、スマホを片手に商品を選んでいます」。セミナーでこう話すのは、中国市場戦略研究所・上海CMRCの徐向東代表だ。
中国語のガイドブックとにらめっこしているのは、台湾人か香港人。中国本土の観光客たちは、メディアよりも口コミを信用するのだ。特に彼らが重要視するのが、「信頼できる人」からの口コミ。そして、こうした口コミによる情報収集に威力を発揮するのがスマホなのだ。
LINEもFacebookもGoogleも使えない(サービスがない)中国人にとって、微博(ウェイボー、ツイッターのようなSNS)、微信(ウィーチャット、LINEのようなSNS)、そして百度(バイドゥ、Googleのような検索エンジン)が、爆買いを支えるツールだ。特に微信はリアルの知り合いとのやり取りになるから、「微信で形成された友人ネットワークで、日本在住者や旅行に行く人に商品を買ってきてもらうトレンドが増えている」(徐代表)。
出張で日本に来たビジネスマンも、微信で妻と連絡を取り合ってドラッグストアで爆買いをする。「アルビオンの化粧水」などと言われても、どれがそれなのか良く分からない。しかし、微信があれば、店頭で商品写真を妻に送り、「それ!それ10本お願い!」という会話が成立する。